ヒザ下からのデトックスを求めて旅をする「足湯の旅」3回目だ。
今回はおそらく家から一番近い足湯であろう湯涌温泉「白鷺の足湯」へ行ってきた。
湯涌温泉だ
そのときに少し触れた小さな足湯にも、今回、足を入れてきた。
誤解されないように言っておくと、その小さな足湯は「白鷺の足湯」ではない。
福神橋を渡った先にそれはある
東屋(あづまや)のような小さな屋根の下に平仮名で「あしゆ」という看板が見える。
寄ってみた図
本当に小さな足湯だ。
写真で言うと横の長さは一足分しかない。
そういえば前回、誰かと一緒に来ればよかったなどと記しておきながら、今回も一人で訪れてしまっている。
さっそく足を入れた
だが、なんだか温かった。いや、かなり温かった。
そして底がヌルヌルとしていた。
写真でもわかるように底に足をつけると木くずのようなものが浮いてくる。
衛生面に疑問を抱いてしまった自分はすぐに足を抜いていた。
見ると常にお湯が流れているわけでもなかった。
しばらく放置されている足湯なのだろうかと思われた。
まあ、こういうこともある。
白鷺の足湯へ
気持ちを切り替えて白鷺の足湯へ向かった。
そこは湯涌温泉総湯「白鷺の湯」の傍にある。
地図で言うと「現在位置」から右方向
その右方向に歩いた景色が最初の写真だ。
ひたすら真っすぐ行くと、すぐに総湯が見えてくる。
途中、金沢湯涌夢二館の前を通る
湯涌は、抒情派(じょじょうは)の画家であり詩人であった竹久夢二が最愛の女性・笠井彦乃と滞在していたロマンの湯としても知られる。
さらに進むとこんな人形が見えてくる
手作り感が愉快だ。
湯涌江戸村の回でも紹介したが、湯涌の方ではこういう人形をよく見かける。
そして、この人形の前がもう白鷺の湯だ。
白鷺の湯だ
なんでも、むかし(718年に)近くの紙漉き職人が、白鷺が泉で傷を癒やしている姿を目にしてこの温泉を発見したそうだ。
いまでは総湯として温泉施設が建っている。
朝の7時から夜の10時までやっていて、休館日は毎月第3木曜日。入浴料は中学生以上で380円、小学生で130円、6歳未満で50円だった。
ここにも人形がいる
以前、江戸村で見かけたときは驚いたが、もうさすがに慣れたのでビビることはない。
それにしても、誰が作ったんだろうか?
目的の白鷺の足湯はこの施設の中にはない。
すぐ傍の階段を登った先にある。
屋外にあり、足湯だけなら無料だ。
案内があるのですぐわかる
これがその階段
左下段の東屋に白鷺の足湯がある。
この日は湯涌そのもので特別なイベントがあるわけでもなかったので、客はあまりいなかった。
あまりいないとはいえ、先客が3人ほどいたので、先に階段を登った先にある神社を撮りに行くことにした。
稲荷神社があるのだ
赤い鳥居と、稲荷大明神と書かれた旗が目印だ。
というか目立ちすぎて、階段の下から見上げてすぐ目に入った。
湯涌稲荷神社だ
奥のお堂には出雲大社の玉串の文字も見えた。
その手前には狛犬ではなく、稲荷神社らしく狐の像があった。
いわゆる狛狐だ。
また、7月後半から10月の前半までこの参道には30基のぼんぼりが並ぶという。
そちらはいわゆる「ぼんぼり祭り」だ。
この湯涌温泉が舞台となっているアニメ「花咲くいろは」を観たことがある人ならその光景をなんとなく想像できるはずだ。
実際、点灯式や「湯涌ぼんぼり祭り」には多くの参拝客が訪れているらしい。
(自分は一度も行ったことがない)
花いろ旅館組合による奉納らしい
ここに「のぞみ札」をかけていく。
湯涌ぼんぼり祭では、その「のぞみ札」のお焚き上げも行われる。
足湯の前に狛狐も撮った
さて、狛犬写真家を自称しようかと目論む自分としては、狛狐を撮った。
狛犬ではないが、そのかわいさはお稲荷さんのキツネも負けていない。
右のキツネ
左のキツネ
違いと言えば、口で咥えているものだろうか。
右側は玉のようなものを、左側は巻物のようなものを咥えている。
玉かな?
もしかしたら「鍵」かもしれない。
狛狐の特徴として「玉」「鍵」「稲穂」「巻物」のいづれかを咥えているものだ。
正面の図
見れば見るほど、丸っこいものに見えないので、やはり「鍵」かもしれない。
こちらは巻物で間違いないだろう
巻物の紐らしきものも見える
やはり間違いないだろう。
それにしても目尻の釣り上がりっぷりが右の狛狐と比べて半端ない。
睨みを利かせている顔だ。
石像なのでその色を想像するしかないが、稲荷神社で奉られているキツネの多くは白狐らしい。
この狛狐たちのカラダについた白い石カビのようなものは、ただの石カビなのか、それとも元々は白色に塗られていて、その塗料が残っているだけなのか気になる所だ。
改めて白い箇所をチェック
…まあ、自分自身、石にあまり詳しくないからよくわからない。
狛犬写真家を自称しようと目論む身分としては、石のことも少しは勉強しなければならなんかもしれん。
いつものように爪も撮る
こちらは巻物を咥えていたほうだ。
どちらかといえば日が当たっていて風化が進んでいないせいかまだ爪の先が鋭い。
比べて鍵を咥えていた方の爪
こちらの方が風化が進んでいて、指の股もわかりづらい。
陽があたる、あたらないで随分と違う。
違いすぎて、左右で作られた年代が違うのかとも思われた。
さらっと写真を撮るつもりが、いつもの狛犬のときと同じようなペースで撮って、そして紹介してしまった。
それくらいこの狛狐に惹かれるものがあったのだろう。
背中から尻尾に掛けてがまたかわいいのだ
狛狐もいいものだ。
改めて白鷺の足湯へ
狛狐の回になりそうになったところで、そろそろ先客も去ろうとしていたので、足湯の方へと戻った。
今回の主役はこれだ
これだと言いながら、狛狐の写真に浮かれていたからだろうか、足湯の全体図を今回も撮るのを忘れてしまっていた。
右端にちょっと見えるのが足湯で、その上を東屋のような屋根が覆っていると思っていただければよい。
中央に白鷺が描かれたこれがある
これ、戸室石で出来ているらしい。
戸室山あたりで採れる石だ。金沢城の石垣にも使われている。
どうやらこの石から湯が流れて出ているようだった。
裏側には文字が彫られている
湯涌温泉 白鷺の湯の名前の由来(伝説)だ。
718年は養老二年だそうだ。
隅っこにはこんなのもいた
人形、どこにでもいる。
ビビるどころか、もう笑ってしまった。
注意書きもあった
熱を加えて、塩素剤も入れてあるとあるが、衛生面を考えると文句はない。
しっかり理解した上で、
足を入れてみた
お湯は、加熱してあるものと書かれてあるものの、どちらかといえばぬるい方であった。
最初の足湯の旅で、いきなり熱いところに突っ込んだ経験があるから、それと比べるとかなり優しい温度だ。
温泉分析書によれば28.5℃だそうだ。
底のタイルの様子
田舎の風呂を思い出した。
このとき、足湯には自分ひとりだった。
足湯を独占しながらこうして写真を撮っていると、そのうち定年後をのんびり過ごしているようなご夫婦が入ってこられた。
挨拶をして、そのうち世間話をそのご夫婦としていた自分は、上がり際、奥さんからタオルを借りることになった。
恥ずかしながら、またしてもタオルを忘れたのである。
仕方ないから車に積んであったティッシュを箱ごとカメラバッグに詰め込んで、それで拭いていたのを見かねて貸してくれたのだ。
感謝しかない。
ぼんぼり祭の頃はこうは行かないと思うが、そのシーズンから外れていると、白鷺の足湯はそれほど人が多くないので穴場である。
対面で足に湯をつける構図をしているので、ご一緒した人たちとも話しかけやすい。
のんびりと人情に触れたいと思う方にはオススメだ。
ちなみに営業時間は9時から21時までやっている。
昼間の日差しもきつくなく居心地が良かった。
夜はライトアップされるようなので、また別の表情をしているだろう。
今度、足湯の旅・夜編をやるっていうのも…アリかもしれない。