先日、津幡町にある「倶利伽羅源平の郷 倶利伽羅塾」と呼ばれる道の駅にたまたま立ち寄った。
倶利伽羅源平の郷というと、1183年ごろ、源氏と平氏が争っている際に牛の角にたいまつを付けて放った「火牛の計」の舞台として有名だ。
ということで牛のオブジェがあった
かなり大きい。本物の牛の実寸台と思われる。
角部分
同じくオブジェのたいまつがツノにくくりつけられている。
こういうディテールは自分好みだ。
資料館兼休憩所のようなところにはこんな竹細工も
竹でも火牛だ。これは欲しくなった。
まったく余談だがクマの剥製もあった
同館に置かれていたツキノワグマの剥製だ。
全長1.5メートルくらいだと思われる。
それほど大きくないと言えば大きくない。おまけに顔が可愛らしい。
ただ、これに襲われるとなるとたまったものじゃない。
別の建物には物販所がある
道の駅「倶利伽羅塾」の物販所だ。
ここでお土産が買えるほか、「倶利伽羅塾 源平の湯」という入浴施設(人工温泉)もあるため、長距離ドライバーが疲れを癒やすのにも役立つ。
この物販所の中で腹の足しになるものを求めていると、地産品(特産品)コーナーで「石川トランプ」というものを見つけた。
コーナーには石川トランプにまつわる新聞記事も張られていたので読んでみると、金沢大学の学生たちが立ち上げた「飛脚~hikyaku~」と呼ばれるグループが製作したと書かれてあった。
なんでも、石川県の魅力を楽しみながら発見できるお土産を作りたかったそうだ。
その心意気に共感できるモノがあったため、
買った
衝動買していた。
価格は一つ864円(税込み)だった。
箱の裏はこんな感じ
トランプ(こう書くとアメリカ大統領のことようだが違う)は今年2017年の1月から金沢市の県観光物産館ほか、20を超える道の駅で発売されているそうだ。
県内の市町の協力のもと、企業回りで集めた100万円を元手に製作、商品化したらしい。
学生たち、若いのにたくましい。
封を切るとこのようにカードが入っている
また、折り込まれた「石川トランプ説明書」も入っていた。
説明書だ
石川トランプならではの特徴や使い方、遊び方が書かれている。
裏面の様子
裏面はこのように石川県の地図になっている。
我々県民からすると見慣れた形だ。
能登半島は日本列島の盲腸だとむかし誰かに言われたことがあるが、盲腸だろうとなんだろうと、これを機にこの形をしたところが石川県であると県外の方々に憶えていただければ幸いだ。
このトランプ、一枚一枚に石川県の全19の市町から3つずつ選ばれた「いいところ」が紹介されている。
19×3で57枚のカードだ。
普通のトランプだと13×4で52、これにジョーカーを1枚加えて53枚が一般的なので、石川トランプの方は4枚多いことになる。
というのも、石川トランプはA(1)~10、さらにJ、Q、Kの他に「I」と呼ばれる14番めの数字があるのである。
「I」のカードが存在する
スートマーク(ハートとかスペードとかのマーク)ごとに「I」がいるので、4枚多いわけだ。
この「I」は「I LOVE(愛) 石川(ISHIKAWA)」の3つの「I」を表しているそうだ。
また、スートマークにもこだわりがあって、スペード、ハート、ダイヤ、クローバーが、それぞれ「イヌワシ」「クロユリ」「ブリ起こし」「アテノキ」で表現されている。
スペード代わりの「イヌワシ」だ
イヌワシは石川県の県鳥に指定されている。
イヌワシは翼を広げると2メートルを超える大きな鳥だ。
英語ではジャパニーズゴールデン・イーグルと呼ばれている。
ハート代わりの「クロユリ」だ
クロユリは石川県の「郷土の花」に指定されている。
6~8月に花が咲くユリ科の植物だ。
昭和29年3月19日に選ばれている。クロユリを石川県の「郷土の花」として選んだのはどうやらNHKらしい。
ダイヤ代わりの「ブリ起こし」だ
「鰤起こし」(ぶりおこし)とは石川県や富山県で使われている方言のような言葉だ。
この地域では11月半ばから12月にかけて、冬の始まりを告げるように風が吹き荒れて雷が何度も落ちる。
この荒れた天候を「鰤起こし」という。
ブリは冬に獲れる魚で、雷が寝ているブリを起こしているといった意味からそう呼ばれるようになったそうだ(諸説あります)。
ちなみに石川県は、雷が一番多い県でもある。
クローバー代わりの「アテノキ」だ
アテ(アテノキ)は「石川県の木」に指定されている。
アテは北陸地方独特の呼び方で、正確には「ヒノキアスナロ」だ。
建材や漆器の素材にも使われるそうだ。
能登地方によく生息している。
能登にある祖父母の家の近くの山でもよく見かけた。
裏面
裏面でも石川県らしいものを散りばめたデザインだ。
このように細かい所まで石川県仕様だ。
先程も少し触れたが、写真でもわかるように、トランプの表面には市町それぞれの「いいところ」の写真が使われている。
ここで少し例を挙げてみる。
有名すぎるけど、まあ金沢と言ったらこれになるだろう。
先日、自分でも兼六園のナイトショットを撮ってきたが、やっぱりプロが撮る写真はうまいもんだと感嘆した。
当ブログでも何度か取り上げたいしかわ動物園だ。
動物好きとしてはたまらない。
いしかわ動物園があるなら「のとじま水族館」もと期待したが、残念ながらなかった。
能登島は七尾市に組み込まれている。七尾市では3つの祭りが「いいところ」としてトランプで紹介されていたので、選から漏れたのであろう。
これが能登島の「いいところ」だったら、間違いなく水族館が選ばれていたに違いない。
また、「いいところ」は何も名所だけではない。
小松市のカブッキー
小松市ではイメージキャラクターが選ばれている。
カブッキーに関しては、さすがだとしか言いようがない。
さすが、石川県ナンバーワンのゆるキャラだ。
そしてゆるキャラが「いいところ」となっている市町は他にもある。
野々市市の『のっティ』だ
Googleの文字変換で「のってぃ」を変換したら、一発で「のっティ」と出たので、それなりに認知度は高いようだ。
ジョーカーはこれ
ジョーカーは羽咋市にある「コスモアイル羽咋とサンダー君」だった。
納得だ。
これに勝る石川県のジョーカーと言ったら、このブログでも紹介した小松市にある「ハニベ巌窟院」くらいしか思いつかないが、さすがにハニベ巌窟院は私設の施設であまりにも珍スポットすぎるためか、小松市の「いいところ」には数えられていなかった。
羽咋市は市を上げてUFOや宇宙人を推している所なので、サンダー君がジョーカーとして使われて羽咋市としても満足なのではなかろうかと憶測してしまう。
なら、「コスモアイル羽咋」が選ばれているなら、同じく宝達志水町が町を上げて推している(?)と思われる「モーセの墓」(このブログでも取り上げた)も「いいところ」として扱われているんじゃなかろうかと見てみたが、さすがにそれはなかった。
宝達志水町には「なぎさドライブウェイ」など、他にいいところがあるのだから、まあ残念だけど仕方ない。
なお、この石川トランプを見つけた津幡町のいいところにもゆるキャラがいた。
「よしなかくん・ともえちゃん」だ
「木曽義仲」(源義仲)とその妾(妻ではないらしい)である「巴御前」だ。
倶利伽羅峠で平家の大軍を破った二人だ。
巴御前は女性ながらそうとうな力持ちだったらしい。
津幡市では、この二人のゆるキャラでNHKの大河ドラマ誘致を頑張っている。
はい、このとおり
倶利伽羅の道の駅の、あの火牛のオブジェの背後にこれがある。
個人的には火牛のモーちゃんとカーくんがイケている。
ここでもう一度、火牛のオブジェの写真をどうぞ
ドアップもプラスした。
石川トランプで紹介されている「いいところ」からそれにまつわる観光スポットに足を運ぶことで、こういう珍妙でマニアックな見もの、見所を新たに発見できるかもしれない。
ということで、石川県を観光する際、このトランプを参考にしてみてはいかがだろうか。
自分としても、次はどこで写真を撮ろうかと迷ったときに重宝するなと思っている。