足湯の旅、二回目だ。
第一回目では、和倉温泉街の公園「湯っ足りパーク」にある「妻恋舟の湯」を紹介してみたが、同じ和倉温泉街にはもう一つ無料で入れる足湯がある。
改めて行ってきた。
「ようこそ和倉温泉へ」
湯っ足りパークから和倉温泉街へと向かう道の途中にある案内板だ。
案内板の右端に写っている通称「デカ山」を子供の頃によく見に行った。
「デカ山」は七尾市の青柏祭(せいはくさい)の中の曳山行事だ。
七尾には祖母が住んでいたので、見に行く機会が多かったのだ。
青柏祭はいまでは毎年GWの5月3日から5日の間に行われている。平成二年(1990年)からそうなっているらしい。
いまではユネスコに登録されている
昭和58年(1983年)に曳山行事が国の重要無形民俗文化財に登録されていたが、昨年(2016年)の12月にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されたのだ。
ついこのあいだの話だ。
自分も、この旗を見て初めて知った。
石川県道248号の先に温泉街
湯っ足りパークから和倉温泉街へと続く道路が県道248号だ。
まっすぐ歩いていくと、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」36年間総合1位に輝いていた旅館業の絶対王者「加賀屋」がある。
残念ながら2017年版の100選でついに1位から陥落して総合3位になってしまったが、加賀屋の名前を一度は聞いたことがあるという人は少なくないだろう。
こっそり加賀屋を撮影
私は生まれも育ちも石川県の石川県人だが、加賀屋に泊まったことはない。
祖母の家が七尾市にあるのだから泊まる必要がなかったとはいえ、石川県人でありながら日本一のおもてなしを体験したことがないのだ。
でも、そういう石川県人は少なくないと思われる。
さて、この写真だが、加賀屋の前にある「弁天崎源泉公園」という所から撮影している。
和倉温泉街では七福神をめぐる散策ポイントがあり、この公園はその一つ弁財天を祀った社がある。と同時に、4つの源泉もある。
弁天社だ
社そのものはそれほど大きくはない。
社よりも鳥居の左側に見えるように源泉がメインの公園だと思ったほうが正解かもしれない。
また、鳥居の影に隠れる形で狛犬のような石像が見えるが、近寄ってみると狛犬ではなかった。
弁財天さまだ
芸の神さまとして有名だ。
和倉温泉の七福神を巡る散策ポイントにはこのように七福神の石像が1つずつ置かれている。
公園内には、ほかにも、
「おゆかけ薬師如来尊像」と呼ばれる場所や
温泉卵を作れる場所もある
さらには水琴窟や、「あったかベンチ」と呼ばれる、おそらく温泉の熱のおかげで温かいベンチなどもあった。
そんなこの公園の近くには、石川県が誇る世界のパティシエ・辻口博啓さんの美術館(兼パティスリー&カフェ)もある。
辻口博啓美術館「LE MUSEE DE H」だ
「LE MUSEE DE H」は「 ル ミュゼ ドゥ アッシュ」と呼ぶ。
辻口さんが地元石川の食材にこだわった洋菓子を提供してくれる。
むかしここで買って食べた「H」(アッシュ)というチョコレートケーキが忘れられなくて、今回ふらっと立ち寄ってみたのだが、そこは世界の辻口のお店、土曜の昼過ぎだと長い列ができていて、断念してしまった。
外から見る限りは空いているかのよう
この建物、縦に長い作りをしていて、中に入ってレジまでの間にお客さんがずら~っと並んでいたのだ。
むかしここに来た時は平日だったと思う。
ちなみに辻口さんのお店はこの和倉以外にも金沢や県外に何店もある。
ただ、自分の中では辻口さんのケーキを初めて食べたのがここだったので、できることならここで食べたいと思ってしまう。
我ながら変なこだわりだ。
総湯の足湯へ
少し寄り道してしまったが、改めて和倉温泉総湯にある足湯へ向かった。
総湯は、歩いてきた県道248号を、弁財天公園から少し戻って別の通りに入ったところにある。
その通りの名が、
「総湯通り」だ
そのまんまだ。おかげでわかりやすい。
少し歩くともう「総湯」だ
なんだか変なキャラクターの石像がある。
こちら、和倉温泉のPRキャラクターである「わくたまくん」だ。
石像なのでこんな色だが、本当はクリーム色をしている。
和倉温泉を発見したシラサギが産んだタマゴということらしい。
特技は「温泉たまごづくり」だ。
その隣には「飲める温泉」の案内も
和倉温泉の湯は飲めるらしい。
前回行った湯っ足りパークでは、このお湯は飲水ではありませんと書かれていたので飲まなかったが、こう書かれてあると味見したくなるのが自分のサザエさん的性分である。
味もみておこう
『ジョジョの奇妙な冒険』第四部に登場する岸辺露伴のこの台詞が個人的に気に入っている。
それで、その味はと言えば、
「しょっぱい」
であった。
海に近いこともあって海水を温めたような味がするのだ。
その香りも、この近くにある能登島の「のとじま水族館」の暖房のきいた部屋で嗅いだ海水の匂いに似ていた。
さて、ここでこの総湯の足湯の全体図をお見せしたいところであるが、それを撮るのを忘れてしまっていたのでご容赦いただきたい。
「温泉」のある建物を撮ってしまっていた
総湯の「温泉」はこの建物の中にある。温泉の方は有料だ。
肝心の、無料で入れる足湯はというと、この建物の真ん前にある。
写真で言うと、右側に先程の「わくたまくん」の石像があり、左側に「足湯」があるのだ。
和倉温泉総湯の「足湯」だ
さすがにお客さんが何人もいて、写らないように撮ろうとすると無理があった。
撮り損ねて、結局全体図を撮り忘れてしまったのだった。
このような作りになっている
全体的に座れる板が引き渡され、その下を湯が流れているような作りだ。
円形に切り抜かれているのが洒落ている。
足を入れてみた
飲めるお湯だけあって、そんなに熱くはなかった。
どちらかといえばぬるめだ。
これなら長く浸けていられる。
こちらの足湯、屋根があるとは言え吹きさらしであるため、足湯の温かさと風の寒さが相殺されるような印象だった。
寒くはないが、足がのぼせるようなことも少なかったのだ。
そう足を入れながらこの足湯の形を眺めていると、金魚でも泳いできそうなイメージが湧いた。
もちろんイメージで、実際に金魚が泳いでいることはない。
代わりに、
温泉タマゴ、できます
温泉タマゴづくりが得意な「わくたまくん」の石像が置かれていたのも納得だ。
ただ、足湯がそれほど熱くないと記したので、少し矛盾も感じられるだろう。
ここだけ熱めだった
温泉タマゴを作るゾーンだけ温度が高いのだ。
前回に反省したが、湯が出ている側は熱い。
何にせよ、玉子を持ってくればよかったと悔やんだ。
自分はこの日もまたタオルを忘れて濡れた足を自然乾燥させていたのだが、タオルを忘れるよりもタマゴを持ってこなかったことを残念に思った。
ちなみに目の前で実際に食べていた方々の弁によれば、
「美味しい」
であった。
つきなみだがわかりやすい台詞である。
殻を上手く向ける人と向けない人がいて、見ていると何だか微笑ましかった。
足湯の側にこちらの石像もあった
「寿老神」(じゅろうじん)さまだ。
長寿の神さまである。
弁財天様に引き続き2柱めの七福神だ。
足湯は、足に無数あるツボを刺激することでデトックス効果があると言われている。
デトックスとは体内の毒素を排出することだ。
たしかに、毎日通っていれば長生きできそうである。
温泉タマゴも、生で食べるより栄養の消化も吸収率も高いというし、寿老神さまを置きたくなるのもわかる気がする。
まとめ
足湯は体にいいのだろうと改めて考えさせられる和倉温泉総湯の足湯であった。
こちらに足を運ぶ際は、玉子を持っていくことをオススメしたい。
次に和倉の方に足を運ぶことがあったら、今度は七福神めぐりでもしてみようかな。そう思えた足湯の旅でもあった。
この看板が見えたらそこが総湯です