初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

いしかわ動物園のナイトズーに行ったら百獣の王は眠そうだった

f:id:seisyunsanka:20160825225910j:plain

夕方の6時30分すぎ

石川県能美市にある「いしかわ動物園」に到着。

普段、17時までしか開園していないのだが、この日は中に入ることができた。

この動物園は夏から秋にかけて土日にナイトズーを行うことがあるのだ。

以前より一度ナイトズーに行ってみたかったので、夜の撮影の練習も兼ねて足を運んだのだった。

ちなみに自分は、この動物園に昼夜問わず一度も来たことがなかった。どのような動物がいるのかよくわかっていなかったので、お目当ての被写体というものも特になかった。

「ナイトズーを撮れればいい」

という、ほぼ無計画にも近い思惑で入っていったのだった。

f:id:seisyunsanka:20160825232620j:plain

門の前の木もライトアップされていた

f:id:seisyunsanka:20160825232732j:plain

こちら

f:id:seisyunsanka:20160825232809j:plain

光の色が

f:id:seisyunsanka:20160825232844j:plain

変わっていく

 

f:id:seisyunsanka:20160826221818j:plain

門の柱にはこのようにミラーボールも

余談だが、自分はミラーボールを見ると「THE YELLOW MONKEY」の『MY WINDING ROAD』という曲を思い出してしまう。歌詞の一節(サビの部分)でこの言葉が使われているからで、このキラキラしたデススターみたいな球体の呼称が「ミラーボール」であると知ったのもその曲を聞いたことがきっかけだった。

そして連想する言葉は「ディスコ」だ。

ふと、動物たちが夜通し踊り狂うくらいに元気に動いているのだろうかと、そんな想像をしてしまった。

 

 園内をまわる

f:id:seisyunsanka:20160826224058j:plain

まずは「アシカとアザラシたちのうみ」というプールを見学

遠くにアシカと思われる海獣が頭頂部を水面から出していたので慌てて撮ったが、わかりづらい。

待っているとすぐ近くまでスゥーッと泳いできてくれる。泳ぎが意外と速いのと、暗すぎて露出が合わないのと、水なのでカメラのオートフォーカスが働かないのとで、泳いでいる姿をちっとも捉えることが出来ないのだ。

いつぞや「のとじま水族館」で撮影した際にアクリル板越しの水中の生き物を撮るのは難しいと思ったが、その時以上にどうしようもなかった。

ちなみにこの動物園と「のとじま水族館」は同じ財団が運営しています。

写真では残せなかったが、彼ら海獣たちはそれはそれはのびのびと泳いでいた。

 

アシカたちのプールから離れ順路らしき坂道を上る。

この動物園は山の方にあって、自然の地形を活かしながら作られている。一つの展示から次の展示へ移動するときスロープ(坂道)を移動する。結果として山を登っているのだが、この動物園のスゴいところは、そのスロープの勾配が4%以下に抑えられていることだ。

登っていて、疲れないのだ。お年寄り車いすの方にもやさしい設計なのである。

f:id:seisyunsanka:20160826230437j:plain

こんな感じで坂がゆるやか

同園は「動物にやさしい」「環境にやさしい」「人にやさしい」の3つのやさしいをコンセプトにしているらしく、実際歩いてみて納得してしまった。

 

f:id:seisyunsanka:20160826232138j:plain

スロープの途中にこういったコジャレた展示もある

f:id:seisyunsanka:20160826232741j:plain

ISHIKORO(石ころ)とあるようにすべて石だ

f:id:seisyunsanka:20160826232819j:plain

f:id:seisyunsanka:20160826232856j:plain

なかなかかわいい

 これらはその一部で、実際にはもう少し数があった。

 

f:id:seisyunsanka:20160826233451j:plain

そうこうしているうちに「サルたちの森」に到着

f:id:seisyunsanka:20160826233645j:plain

こちらは世界的に個体数が減ってきている「シロテテナガザル

リスザルやワオキツネザルなどもいる。

サルたちは夜でもかなり元気だった。

 

気付いた方もおられると思うが、これらの写真には「鉄格子」が写っていない。

この動物園はだいたいガラスで仕切られている。おかげで写真を撮りやすい。

「やさしい」をこういうところからも感じられる。

 

動物たちはみんな夜も元気だと思ったが…

「サルたちの森」の近くに、暗すぎて撮れなかったが「イヌワシの谷」があり、その前には「小動物のプロムナード」という建物もあった。

「小動物~」の方にはケープハイラックスやマーラ、レッサーパンダがいると案内されていた。小動物たちも元気いっぱい動いているのだろうとホクホクした気持ちでその建物の方に入ってみると…

f:id:seisyunsanka:20160827000338j:plain

ケープハイラックス(ピントがあっていない…)

ぐで~ん。

f:id:seisyunsanka:20160827000501j:plain

マーラ

ち~ん。

f:id:seisyunsanka:20160827000625j:plain

レッサーパンダ

だる~ん。

でした。

f:id:seisyunsanka:20160827000751j:plain

エサをもらうときだけは元気

ちなみに、小動物たちの展示場所の大半はガラスの仕切りすらない。

「モート方式」と呼ばれる小動物たちが越えられない堀によって仕切られているらしく、直接観察できるわけです。

 

この近くにはさらに「ネコたちの谷」というものもあった。

ネコといっても家猫ではなく虎やライオンといったでっかい奴らだ。

最近、神社で狛犬を撮るようになったせいか、個人的に獅子のようなネコ科の猛獣にも興味がある。

 リアルな猛獣はどういう肢体をして、どういう筋肉の付き方をして、爪はどうか、大きさはどうか、迫力は? 夜行性と一部で言われているからこの時間は元気なのだろうか?

と、そんなことが俄に頭の中を駆け巡ってきたものだ。

ちょっと高揚しながら谷に到着してみると、

f:id:seisyunsanka:20160827151543j:plain

トラ

ごろ~ん。

f:id:seisyunsanka:20160827151655j:plain

雌ライオン

むにゃ~ん。(でも肉球がかわいい)

f:id:seisyunsanka:20160827151953j:plain

リアル獅子(雄ライオン)

ねみぃ~。

でした。

このあと、獅子は起き上がったのですが、目元がとろ~んとしてやはり眠そうだった。

(急に混雑したため、その様子をカメラで撮ることができなかった)

ネコが夜行性というのは間違い、なんて記事も目にしたことがあるが、これらを見るとその説が正しいようにも思えてきた。

百獣の王も夜は眠いらしい。

f:id:seisyunsanka:20160827152446j:plain

ライオンは一日で2kg与えられているらしい

 ライオンたちって腹が減っているから襲って、満腹の時は意外とおとなしいなんて話をちらっと耳にしたことがあるが、毎日しっかり与えられていると、寝てる時のほうが多いのかもしれない。

実際、展示場が人で混雑して、みなしてガッツリとライオンに視線を注いでいたのに、彼らは動揺することもなく、まったりとしていた。寝ているところを起こされて怒るということもなかった。

f:id:seisyunsanka:20160827153527j:plain

隣のトラも知らんぷり

f:id:seisyunsanka:20160827153655j:plain

ユキヒョウもなんか上の方ばかり見つめていた

夕飯後にソファで横になりながらテレビを見ている人みたいだ。

 

ナイトズー、かなりまったりだ…

夜行性の動物は、クラブで宵越し踊り続ける人間の若人たちのようなノリなのだろうと勝手に思っていた自分からするとかなりのギャップだ。

もっとも、正直に言えば、このまったりっぷりは、自分好みだ。

 

気がつけば「元気」か「まったり」かを観察していた

谷からさらにスロープを上ると、今度は「オーストラリアの平原」というところが見えてくる。

オーストラリアなのに最初に目にするのは、

f:id:seisyunsanka:20160827161625j:plain

スッポンモドキこと「ブタハナガメ」だ

しかも水槽の反射のせいで変な写真になった。

でも隣には、

f:id:seisyunsanka:20160827161857j:plain

ちゃんとカンガルーの姿がある

あいかわらず胸回りがマッチョだ。

そして、日が暮れていてもピョンピョンと飛び跳ねて元気だった。

f:id:seisyunsanka:20160827162311j:plain

ボヤけてますが、はい、このとおり

カンガルーは夜行性だそうだ。

 

さらに進むと、「郷土の水辺」や「南国の森」といった展示施設もあった。

f:id:seisyunsanka:20160827163019j:plain

「郷土の水辺」の水槽がキレイで見やすい

水中を潜っているような感覚で見れれば、水面を上から覗き込むように見ることもできる。

f:id:seisyunsanka:20160827163552j:plain

子供が見やすいような高さに水槽も設置されている

幼い子供が立ったまま水中を覗けるような高さだ。

こういう工夫、うまいなと思った。

※写真の親子は知らない方です。

 

言うまでもないが、サカナたちはどれも泳ぎっぱなしだった。

 

f:id:seisyunsanka:20160827164709j:plain

「南国の森」は湿度が高い

80%を超えていたのでムシムシだった。

ただ、気温の方は、この日も猛暑で日が暮れても30℃近くあったから、この施設内の方が涼しいようにも感じられた。

f:id:seisyunsanka:20160827165137j:plain

ナマケモノがいたがこっちを向いてくれなかった

こやつは… 年中眠たそうなのだろう…

動物界の「キングオブまったり」かもしれない。

f:id:seisyunsanka:20160827165552j:plain

イグアナもいた

こちらもガラスにもたれかかって、だる~ん。

f:id:seisyunsanka:20160827165810j:plain

こちらは「アカハナグマ」

この子は、すぐ巣穴に隠れてしまいますが、出てくるとかなり活発に動いていた。

 

「南国の森」の出口には、珍しい「ヤオビヤドクガエル」の展示もあった。

毒を持ったカエルで、水槽の中に茂みを作り、そのカエルたちだけが入れられていた。

隔離みたいなものだ。

そして、小さいからなかなか見つけるのが大変だった。

f:id:seisyunsanka:20160827170524j:plain

 やっと見つけてやっと撮れた一枚

距離も遠く感じるし… はぐれメタル系のレアなモンスターを見つけた心地だった。

 

ふれあい広場ではまったり優勢 

この動物園にはふれあい広場もある。

マゼランペンギンやウサギ、ブタやプレーリードッグなどがいて、実際に触れられる動物もいる。

f:id:seisyunsanka:20160827215235j:plain

ペンギンたちはスイスイと泳いでいた

f:id:seisyunsanka:20160827221000j:plain

カピバラもいた

最近、子供が生まれたらしい。この手前の小さいのがそうなのだろう。

かなりかわいい。ボディがキュウイ(食べる方)みたいだ。

f:id:seisyunsanka:20160827221326j:plain

別の家族は入浴していた

f:id:seisyunsanka:20160827222209j:plain

はい、かぽ~ん

もはやただのまったりではない、まったりに手慣れた、まったりを満喫する、まったりの常習者だ。

 

f:id:seisyunsanka:20160827225436j:plain

アルカパもこのとおり

 「もう寝ます」

って顔をしていた。

f:id:seisyunsanka:20160827233339j:plain

モルモットたちはもう奥の部屋の中だった

f:id:seisyunsanka:20160827233747j:plain

ヒツジ

消灯…

 

ふれあい広場の動物たち、気を張らない選手権なんてものがあれば、猛者ばかりだ。

 

鳥たちはその鳥次第

ふれあい広場を過ぎると、しばらく「鳥」のコーナーが続く。

鳥で夜行性というのはあまり聞かないので基本的に静かなのだろうと思いながら見て回った。

実際、鳴き声もほとんど聞こえなかった。

f:id:seisyunsanka:20160828224119j:plain

カモが何だか凛々しかった

動いていないわけではないが、活発でもない。それでいてダラけるわけでもなかった。

f:id:seisyunsanka:20160828225315j:plain

鶴の目はとろ~んとしているように見えた

f:id:seisyunsanka:20160828224801j:plain

そばにカメもいたが

こちらはわかりやすいくらい、ぐで~んとしていた。

万年生きそうだ。

f:id:seisyunsanka:20160828225650j:plain

シロフクロウもいた

そういえば、こやつらはカリッカリの夜行性だった。

やかましくすることもないが、目がぱっちりで、今から狩りOKってな感じで一番精力がみなぎっていた。

昼間の動物園ではまず見られない姿だった。

というか、昼間の動物園だとフクロウって姿すら見せない時あるし…

 

f:id:seisyunsanka:20160828225529j:plain

ライチョウの峰」なるものもあった

ライチョウは国の特別天然記念物だ。

高山で暮らす鳥で、寒い冬が訪れても高山から離れない珍しい鳥だ。

高山のような寒い環境でないと飼育できないようで、この小屋の中はクーラーがガンガン利いていて、肌寒いくらいだった。

f:id:seisyunsanka:20160829224149j:plain

見づらいですが、人工的に雪も降らせていた

この装置の下に立って夏でありながら雪を体感できます。

f:id:seisyunsanka:20160829225146j:plain

ライチョウ発見

首をすぼめていると全体的に丸い。

f:id:seisyunsanka:20160829225306j:plain

白いのも発見

さらに首を埋めて、寝てますわ。

「かごめかごめ」の中央で蹲って目を閉じているときって、こんな姿だった気がする…

f:id:seisyunsanka:20160829225644j:plain

ライチョウにとって温暖化は大問題らしい

 そのため、この動物園ではライチョウの繁殖にも力を入れていて、

f:id:seisyunsanka:20160829230054j:plain

孵卵器や育雛器も展示されていた

この時は空だったが、実際に使われているものだろう。

 

 

閉園時間が迫る中、「アフリカの草原」ではしっかり写真を

鳥たちのコーナーも過ぎると、今度は「アフリカの草原」という展示が見えてくる。

シマウマやキリンがいて、夜のライトがオレンジ色だ。ナイトズーの広告などで目にする写真はだいたいここの画が使われている。

言ってみるとナイトズーの見所であり、写真を撮るべきスポットでもあるのだろう。

ということで、ここでは一旦「元気orまったり」を忘れて少し気合を入れて撮ることにした。

f:id:seisyunsanka:20160829231719j:plain

シマウマの影がなが~い

影はまあまあだが、手前の水面も写してそこに映るシマウマの姿も収めたほうがいいのではと、考えた。

ということで、もう一枚。

f:id:seisyunsanka:20160829231606j:plain

なんか、キリンも写った

夜なのに、彼らは普通に動いていたので、なかなかいいアングルで捉え切れなかった。

シマウマやキリンって、夜行性なのか?

 

隣にはゾウもいた。

f:id:seisyunsanka:20160829232922j:plain

こちらは暗すぎた

ただ、ゾウも夜行性があるのか、暗い中を普通に動いていた。

 

近くにはさらにカバやチンパンジーのエリアもある。

f:id:seisyunsanka:20160829233528j:plain

こちらはコビトカバ

のんびりと水から上がってきたところだ。

f:id:seisyunsanka:20160829233831j:plain

こちらはチンパンジー

後ろ姿しか見えず、そのうち闇にまぎれていった。

森の賢者は静かに眠りたいらしい。

f:id:seisyunsanka:20160829234042j:plain

たまに危ういこともするらしいけど…

 

 最後に「オランウータンの森」にも寄った。

この時にはもう閉園のアナウンスが園内に流れていたが、飛ばさず見た。

そして見てよかった

f:id:seisyunsanka:20160829234605j:plain

 オランウータン、ブランコしてました

 アクティブさでは、本日一番はこの子だった。

 

 感想

初めてのナイトズー、このように動物たちがまったりしているか元気に動きまわっているかをチェックする見学となった。

そして、割合でいえば「まったり」が優勢であることが判明したと思う。

仮に夜行性でもお祭り騒ぎをするウェイ系大学生のような動物はいないのだ。

さらに言えば、オランウータンが一番アクティブだったと記したが、自分が今宵見た中で一番元気だったのは、彼ら動物たちを観る「人間」たちだった。

 f:id:seisyunsanka:20160828223823j:plain

こちら、ふれあい広場にあった霧発生装置

装置に群がってはしゃいでしまうような我々人間たちが一番活発だ。

動物を見ても、子供、大人関係なく人間たちは興奮していたのだった。

 

f:id:seisyunsanka:20160829235058j:plain

ついでに言うと、この日は近くで祭りがあったらしく花火も上がっていた

これに高揚して急いで写真に収めようとしていた自分もまた、活発な人間の一人だった。