これまでの自分はあまり「花」や「草」というものに興味がなく、特別それを被写体にしたいと思っていませんでしたが、前回、金沢市の大乗寺丘陵公園に出向き、つつじやそのほか草木を撮っているうちにその考えも変わってきました。
花一つ撮るにも、その花の色によって彩度を意識したり、色んな角度から撮ってみたり、工夫が必要なようで、それ次第で自分の色も出せるようです。
ということで、この日は富山県の氷見市にある氷見市海浜植物園に足を運びました。
その名のとおり、海のすぐ近くにあります。
でもその前に、腹ごしらえをしたく、氷見市のすぐ傍、高山市の山中にある、とあるパン屋に足を運びました。
本当のことを言いますと、ここのパンを一度食べてみたいというのが最初の目的で、そこに向かう道中で海浜植物園の案内板を見つけて、その日の撮影場所と決めたのでした。
「パン工房ブレッド」です
山の中にあるため、簡単には見つからないですが、石窯で焼いたパンを食べられる、隠れた名店です。
入り口はこんな感じ
ただ、本当に山の方にあるため、ナビがなければおそらく辿りつけなかったでしょう…
扉を開けるとパンの香りが鼻腔から脳髄に抜けていきます。この香りの濃さはクセになりそうです。
入り口を抜け、すぐ左に小さな販売スペースがあります。
右には飲食できるスペースがあり、木のぬくもりを感じられるイスやテーブルが並んでいました。
店内で食べることも考えましたが、この時には植物園に行くことを決めていましたので、持ち帰ることにしました。
帰り際、店の女将さんらしき方にお店の前のキツネのオブジェを写真で撮らせて欲しいと頼むと、やや戸惑いながらもOKをくれました。
ということで一枚。
「猫」ですね
キツネを撮らせて欲しいなんて言われたら、そりゃ戸惑うわね。
購入したパンは3つ
色で選びました
こちらはチーズとカレーのパン
デザート代わり
飲食店のガイド本なんかによくある食べ物の写真みたいなものを撮ってみたいと思って挑戦してみたのですが、まったく撮り方がわかりませんでした!
(今後また勉強しようと思う)
食べてみる
石窯焼きということで無骨で堅いイメージがあったのですが、口に運んでみると想像に反してパンが柔らかかったです。舌触りもよく、店の中で鼻腔を抜けた濃い香りも残っていて美味しかったです。
店の雰囲気もあわせ、また足を運びたくなりました。(これ、本音です)
いざ、海浜植物園へ
「とやま花の名所」だそうです
HPによると、氷見市海浜植物園は日本各地の海浜植物を中心に植栽展示している植物園とのこと。
富山県植物公園構想というものが同県にはあり、その一つとして氷見市によって整備されたそうです。
看板の「とやま花の名所」は、県民が広く花に親しみ、緑化意識の高揚を図ることを目的として選定された「見所」のことで、同館を含め、現在県内で51箇所が選定されています。
なかなか、いびつな形をした建物です
企画展示などがあると有料のこともあるようですが、自分が足を運んだこの日は、運良く入館料が無料でした。
入り口を抜けるといきなり左方、前方、右方の別れ道。
こういう場合、片端から隈無く見たい性分の自分は、いつも「左」から見ようとしてしまいます。
なぜ右ではなく左からなのかは、自分でもわかりません。
自分が左利きだからかもしれません。
東向きである地球の自転に逆らいたいのかもしれません。
なんにせよ入口を抜けて左に折れると…
ひょうたんの展示会場に迷い込んでしまいました
元は植物だけど、「植物」ではないね…
こういった造形品の展示会場は、普通なら植物を見て回って最後に足を運ぶものだと思われます。
料理のフルコースメニューで言えば最後のデザートのようなもの。
それをいきなり食べてしまいましたといったところです。
でも自分、こういう既定路線を外れる行為、嫌いじゃないです。
展示自体も、いろんな形や柄、色のひょうたんが並んでいて面白かったです。
漆塗りのようなものもあれば
指の第二関節くらいの小さなものもあり
「ひょうたん和紙貼り教室」というものもあるらしいです。
それだったのかどうなのかわかりませんが、展示会場内では数人のおばあちゃんたちが大きなテーブルの上で作業をしていました。
入口を抜けて「直進」が正規のルートだったらしい
ひょうたんの展示会場を見終えると、再び玄関に戻り、入って正面に見えるメインホールへ進みました。
ちなみに右に曲がってもすぐ行き止まり。
「前方」へ直進が正解だったようです。
ホールでは職員の方もいて、「いらっしゃいませ」と挨拶もしてくれましたしね。
ホールにはこういう小さな扉がいくつか並んでいる
開けてみると…
こういった標本や
小さな植物などが説明書きと共に展示されている
引っこ抜いちゃダメですが、植物に触ったり、石に触れたりできます。
カテゴリーごとに小さな展示空間を形成し、扉によってその知識や雰囲気を封じ込め、開けた者にのみ体験させ、学習させてくれる演出です。
中には「海の音」が聞こえる扉もありました。
扉の裏側にもこのような説明書きがある
勉強になります。
さらには図書コーナーの部屋まであり
個人的にこういう本が気になります
他にも難しそうな本や、子供むけの読みやすい事典なども置かれていました。
窓辺の地蔵もなかなかかわいい
ついでに、後ろのひょうたんの形のいびつさもキモかわいい。
ホールにはドリアンもある
メインホールを、このようにカメラで撮影しながら見学していると、植物園の職員の方に話しかけられ、「ドリアンがありますよ」と教えてもらえた。
ドリアンといったら、クッサい臭いで有名な王様の果実と呼ばれるフルーツです。
ドリアンを食べたことも、嗅いだこともない自分。
頭に真っ先に浮かんだのは、リアクション芸人が嗚咽している姿でした。
そのまた次に浮かんだのはトリンドル玲奈でした。
ありましたよ、ドリアン
メインホールの中央あたりで、フタ付きのクリアケースに入れてありました。
教えてくれた職員の方がまたイイ人で、「フタも開けていいですよ」と言ってくれて、さらにはご自身で開けてくれました。
かなりすんなりと開けてくれたので、クサいのが拡散しないか心配になってしまいましたが、開けたくらいじゃそこまで臭わないようです。
ドリアンと初顔合わせ
職員の方に促されるまま鼻を近づけてみると…
ツ~ンときて、顔をしかめてしまいました。
職員の方は「玉ねぎの腐った臭い」や「ゴミ捨て場の臭い」などと例えていましたね。
確かにクサいです!
ですが自分、小学生の頃に超くさくて誰も手をつけなかったチーズを「クセになった」と一人でバクバク食べていた過去があります。
舌と鼻がひねくれているのか、いまでもクサくてクセのあるチーズのほうが好みだったりします。
ドリアン、確かにクサいのですが、嗅いでいると自分はすぐに慣れました。
鼻の中の粘膜を乾燥させてベリベリと剥がし落とすような強烈な臭いの中にも、パイナップルにも似たフルーティーな甘い香りもしてくる。
これを嗅ぎ分けられると、逆に好きになってしまいましたね。
おかげで何度もクンカ、クンカと嗅いでしまってましたよ。
職員の方からすると、もっとクサがれよ、と思っていたかもしれませんが…
メインホールには他にもこういったものも展示
こういうのや
こういう愛らしい奴もいます
いよいよ植物を撮る
「植物を撮る」と銘打っておきながら植物以外のものばかり撮ってしまってましたが、メインホールを抜けるといよいよ植栽展示が始まります。
まずは「温室」へ
温室だけあって入った瞬間からムアッとしてました。
このとおり高温多湿
室内はこんな感じです
見ながら撮る
なかなかお目にかかれない熱帯・亜熱帯の植物たちのせいで、福井の恐竜博物館の時のように見ることに集中してしまいそうでしたが、本日はちゃんと見ながら撮ることを念頭に置いてました。
ただ、今の自分はまだ植物をどう撮ればよいのかわかっていません。
そのため、練習だと思って気になったものを片端から撮っておりました。
何の花だっけ?
植物を撮ってはその名前が書かれた案内板も撮っていたつもりでしたが、いきなり撮り忘れてました。
こちらは「メヒルギ」
マングローブの一つです。
※マングローブとは、満潮時に海水が満ちてくる潮間帯と呼ばれる場所に生息する植物の総称です。淡水のほか、海水ても生きていられるようです。
写真としては中央に持ってきすぎかもしれない…
こちらは「オヒルギ」
やはりマングローブ植物。
今度は左下端に持ってきすぎてます…
何の葉っぱか忘れた…
たぶん「レンブ」です。
また忘れた…
我ながら意識が一つのこと(写真を撮る)にしか集中できてない。。。
パイナップルも実ってました
左に写る太い幹は「トックリヤシ」です。
こういう感じで説明書きも記録していたはずなのに…
こちらは「ガジュマル」
むかし甥っ子とアメーバピグのピグアイランドをやっていたことがあるのですが、ゲーム内で何本も伐採してやった「ガジュマル」をこのとき初めてナマで見ました。
ということでもう一枚
こんなそうめんみたいなのを垂れ下げてる樹だったのね…
錦野旦の衣装しか連想できねぇ…
「ガジュマル」だって証拠の写真も
あのそうめん、「気根」というものらしいです。
こちらは「トゲオニソテツ」
写真としては、上部の太陽光の明るさがややうるさい気も。
露出を下げたほうが良かったのかもしれない…
となると、AVモードに頼りきりも、そろそろ改めないといけないのかも。
温室の終わりにサボテンも発見
今回は一枚のみですが、色んな種類のサボテンが並んでいました。
サボテンばかり撮るというのもアリかも。
庭園に出る
この施設、メインホールと温室と、グラスチューブと呼ばれる通路の3つが繋がって楕円形を形成しています。
その内側が「展示庭園」となっています。
ここでもいろんな植物を観賞できるのですが…
ホールのあった建物の階段が何だか「立体的」
こっちが気になってまず先に撮っちゃいました。
立体的な、苔生す石段も発見!
と、撮ってるんだから、前回の「立体的」へのこだわりの呪縛からまだ解放されておりませんね。
ちなみに、この後しばらく石段ばかり撮ってました。
石段を上るとこんな景色
苔や飛び石もまたキレイ
ホワイトバランスで無駄に青くもしてみる
涼しさが出るのである意味ありかも。
トンネルもある
小山にはこのようにトンネルもあります。
「階段があると上りたくなり、穴があると入りたくなる」
世の中にはそういう人がいるもんですが…
自分もその一人です
トンネルの内側から撮影。
青く撮るとやっぱり涼しそう
岩肌に生える草というのも、けなげ
昆虫目線でこんな一枚も
このとき、モンシロチョウが飛んでいて、それをファインダー越しに追いかけながら撮りました。
残念ながら肝心の蝶は逃しております。写ってません。
庭園を後にしてグラスチューブの中へ
画面の右奥に見えるガラス張りの通路が「グラスチューブ」と呼ばれるところです。
そこを進むとメインホールに戻るので、最後の観賞ルートとなります。
「グラスチューブ」では数種の「つる性植物」が展示されていました。
メキシコサワギク
ほかにも、ルリマツリやソケイノウゼンなども咲いてました。
咲いていて撮ってもいるのですが、ボケまくっていたので掲載はやめました。
オマケ
メインホールの2階がワークショップになっていました。
積み木など木のおもちゃが置かれ、花や草に飽きたお子様たちを遊ばせておくこともできます。
こういうのも木製です
これって小さい子供が持ち上げられるの?
なにはともあれ、
氷見市海浜植物園、想像以上に良かったです
季節によって咲く花や、実をつける植物が違うようで、また足を運んで、今日とらえたものとは別の植物を被写体にしたくなりましたね。
たまたま看板を見つけて立ち寄ったわけですが、四季を感じる点でも、カメラで撮る上でも、想像以上にいい場所だった。
ちなみに…
館を出たあと目の前の海に出て、海の写真も撮ったのですが、あまりのデキの悪さに載せるのを諦めました。
構図のセンスがまだ甘い自分には、海はまだ時期尚早でした。
この茂みの間を抜けると海だった…
でもレベルが足りなかった…