初心の趣

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のとじま水族館の新しくなった回遊水槽「のと海遊回廊」を見に行った

のとじま水族館の本館の回遊水槽では一年近く改装工事が行われ、2018年の4月28日にリニューアルオープンした。

オープンから一ヶ月以上経った先日、その新しくなった水槽を見に行ってきたので紹介したい。

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新しくなった水槽

のとじま水族館本館の回遊水槽は開館時(1982年)からあった水槽なのでかなり老朽化していたそうだ。

2017年の5月から改装工事が始められ、長らく立入禁止になっていたが、一年近く経ってようやく完成した。

リニューアルオープンした頃はGWであったので、水族館そのものが来館者でいっぱいであった。駐車場もいっぱいで、館の前から車が長蛇の列を作っていたそうだ。

そんなときに見に行きたくなかったので、自分は一ヶ月半くらいが過ぎた6月に足を運んだ。

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久しぶりののとじま水族館

ジンベイザメのオブジェがお出迎えだ。

この日は土曜日だった。

天気は曇りとパッとしなかったが来館者は結構いた。

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こちらは本物のジンベイザメ

同水族館は最初の受付で入館料を払うと最初にこのジンベイザメがいる「青の世界」を通ることになる。

その「青の世界」を抜けると、長らく一部が立入禁止になっていた本館に出る。

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本館入り口だ

工事中はバリケードが設けられていてここから入ることができなかった。

この場所がこんなにスッキリしているのを見るのは一年以上ぶりだ。

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リニューアル後の地図

以前は入れない区域が記されていたと思うが、いまではスッキリとどこでも通行可能であることが伝わるマップとなっている。

新しくなったのは、この地図でいうと「のと海遊回廊」というところだ。

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入るとすぐ大きく「のと海遊回廊」の文字

本館入り口から入ってすぐ、この文字を見ることができる。

水槽だけがリニューアルされたのかと思ったら、入ってすぐのあたりから以前とは違っていた。

以前は企画展示がいきなりあったような…

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それが今ではこう

新しい回遊水槽はプロジェクションマッピングなども使用しているそうなので、出だしからイリュージョンな予感をさせてくれる。

なんだか今から深海世界に足を踏み込むような雰囲気があった。

「さかなへん」の部首にビキニを着た女性ダイバーが描かれたポスターが張ってあった一年前以上の頃とは明らかに違う。

一年以上前にのとじま水族館に行ったときの記事はこちら

突き当りを曲がった先も…

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以前とは違う

水槽がむちゃくちゃきれいだった。

なんだろうかこの透明度は。

できたてホヤホヤの水槽ってキズもほとんどないからくもりが一切ないかのように澄んで見える。

もともとこの水族館は海の側にあってその水もきれいだから、というのもあるのだろう。

能登の海の美しさも伝わる。

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通路はこの通り

プロジェクションマッピングが使用されて、ファンアジーな世界を歩いているような気にさせてくれる。

写真では通路の右側に水槽があり、左側は壁全体が鏡になっている。

写真の奥に水槽があるかのように見えるのも実は右側にある水槽が鏡に写り込んでいるのだ。

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暗くなったりもする

プロジェクションマッピングなので定期的に明るくなったり暗くなったり、模様が変わったりしていた。

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天井にまで絵が浮かんでいた

床や天井を見れば絵が動き、水槽を見れば魚が泳ぎ、それら二つがコラボして一つのアートを創造しているようなそんな空間だった。

今どきの水族館ってハイカラだ。

昭和の香りがもうしない。これが平成の水族館なんだろう。平成もあと一年で終わってしまうけど…

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まだ通路がわかりやすい一枚

でも、こうしてみると左右どっちが鏡で水槽なのかわからなくなってくる。

昭和生まれには、おとぎの世界に迷い込んだような錯覚があったよ。

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ちなみにこんなスペースもある

「観察ドーム」と呼ばれているスペースだ。

この回遊水槽に2か所あった。

魚たちの泳ぐ姿を下から見上げることができるスペースだ。

ベンチもあるので座りながら見上げられる。

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下から撮れる

ちょっとラッセンの絵みたいな画になってくれた(ピント外れまくりだが)。

なんにせよ魚が飛んでいるように見えた。

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低いところの魚も座りながら観察

掘り炬燵のように座ることができ、座っている横をこのように魚たちが通り過ぎていくので海底に住んでいるような気分を味わえた。

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改めて気合を入れて一枚

いい雰囲気の出ている水槽だった。

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ちなみに上から見るとこんな感じ

「のと海遊回廊」を上部から見た図だ。

なんでそんなところから?と思われるかもしれないが、土曜日限定でこうして普段見れないところからこの水槽を見れるチャンスがある。

「裏側探検」というやつだ。

次の章ではその裏側探検で目にしたのと海遊回廊の水槽の様子と、ちょっと新しくなった探検そのものの様子も記したい。

 

裏側探検でも新しい水槽を

以前、当ブログでも記事にしているが、のとじま水族館では土曜日限定で館内の普段は飼育員や職員しか立ち入れない裏側を探検できるちょっとしたイベントがある。

裏側探検に参加したときの記事はこちら

新しくなった海遊水槽を見に行くならついでにその裏側も見てみたいということでこのたびは土曜日に足を運んでいたのだった。

その裏側探検は土曜日の午前と午後に一回ずつ行われる。自分は今回も午前の回に参加している。

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その時の参加整理券

申込みは入場料を払う際に受付でできる。先着10名まで。

開始は10時40分だ。

整理券の番号はNo.1だった。

というか、この日のこの時間に参加したのは自分ひとりだけであった。

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集合場所

本館のマダイのいるレクチャーホールがその場所だ。

前回参加したときは参加者3名に対して案内してくれる飼育員が1名だった。今回は参加者が自分一人、飼育員が逆に2名であったのでマンツーマン以上、二人にマークされているような状況であった。

自分ひとりだけ… この裏側探検、面白い企画なんだけど、あんまり知られていないのだろうか?

まあ、自分としては解説者を独占できるのでラッキーったらない。

そんな今回の裏側探検で最初に見せてもらえたのがリニューアルされた回遊水槽の上部であり裏側だったのだ。

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飼育員の方に連れられて上の方へ

裏側探検略して「うらたん」というようだ。漫画『SLAM DUNK』を「スラダン」と略していた子供時代をふと思い出した。

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回遊水槽の裏側に到着

表側はプロジェクションマッピングなどを使ってキレイであったが、裏側はこのように鉄筋むき出しだ。

自分としてはむしろこういうのにも萌える。

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照明器具

リニューアル前は水銀灯だったそうだ。熱が発生する電灯だ。いまではLEDになったのだとか。

水銀灯ももろ昭和という感じなら、LEDも平成と言った感じでいろんな意味で「時代」だ。

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改めて回遊水槽上部の写真

少し分かりづらいがシャワーが出ている。

こうやって表面を波立たせることによってお客さん側から上の方を見えなくしているのだとか。

このシャワーがないと上の部分で飼育員が歩いていたりすると丸見えになってしまうのだ。

水槽内の回遊魚はこの日で24種類762匹いると言っていた。細かい数字まで把握している。

以前は1000匹近くいたそうだ。リニューアルによって水槽そのものが少し小さくなっているのでその分減っているのだとか。

奥行きも狭くなっており、以前は見られた飼育員が潜水して餌を与えるショータイムもいまではできなくなっているという。

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う~む、たしかに狭い

ボンベを背負ったダイバーが入れないスペースになっていると言っていた。

個人的にあれ、結構好きだったので、いつか(ボンベが超小型化したりしたときなど)復活してくれないかと淡い期待をしたい。

そんな話をしていたからか、このあと飼育員の方はダイバースーツの説明もしてくれた。

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別のスペースに移動してウェットスーツの説明

一年前くらいに探検したときにはなかった説明だ。

裏側探検も日々新しくなっているらしく、また案内してくれる飼育員(魚が専門だったり、海獣が専門だったり)の方によっても内容が多少違うようだ。自分としては変化があって嬉しい。

ウェットスーツってまず水が入ってきてスーツ内にとどまり、その水が人間の体温を吸って暖かくなる仕組みになっている。

冬場は水温が10℃とか8℃なので寒いけど夏は汗をかくくらい暑いらしい。

これらウェットスーツ、飼育員の方一人ひとりに与えられていて、それぞれオーダーメイドだと言っていた。

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冬専用のダイビングスーツもある

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ブーツと一体化している

水が入ってこないドライと呼ばれるもので、服を着たままでも着れるものだそうだ。

一着が高い(20万円から50万円くらいはするらしい)のでここ4、5年になって購入してもらえたものなのだとか。

オーダーメイドだと更に高くなるのでこちらはフリーサイズだ。

こういう裏話もしてもらえるところが面白い。

裏話といえば、今回も魚や海獣たちの餌を作ったり保管しているところを見せてもらったとき、そこでもちょっとした話を聞かせてもらえた。

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餌を作っている場所

ここでどのようなものが餌になっているのか、どのように切って与えているかなどの話を聞かせもらえた。

同じエリアに餌を保存しておく冷蔵庫並びに冷凍庫もあり、一年ぶりに入ってみたらやっぱりむっちゃ寒かった。

ここで餌の中に薬やビタミン剤などを入れる話も聞かせてもらえたのだが…

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胃腸薬が新ビオフェルミンS錠だったりする

人間が飲むものと同じものだ。

これがよく効くそうだ。

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こちらはビタミン剤の「シービタⅡ」

海洋動物用のサプリメントだ。

以前は「1」だったが、いまは「2」だ。

1のときにイルカが食べてそのまま出てきたことがあってより消化されやすい2になったそうだ。ただ、逆にもろくて餌の中に仕込んだときに崩れやすくて、現場の飼育員の方々からすると「使いにくい」のだとか。

裏側探検ならではの裏話だ。

そういったことを教えてくれた今回案内してくれた飼育員の方(裏側探検的には「隊長」さん)は海獣専門の方で、海獣専門家らしく次にはイルカふれあいプールの裏側も見せてくれた。

イルカふれあいプールはアシカ&イルカショーが行われている側のイルカトレーニングセンターのことだ。

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ショーのプールとつながっている施設

ショーを終えてイルカたちが帰っていく、写真でいうとさらに左側にある建物だ。

以前、同水族館でいろんなふれあい体験をしたときに有料ながらその中にも入っている。

ふれあい体験をしたときの記事はこちら

その施設の中ではなく、飼育員さんたちスタッフが居るその建物の裏側を見せてもらえたのだ。

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普段は立入禁止のこんなところを入っていく

知らない学校の校舎に忍び込んでいくような興奮があった。

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これが裏側だ

水族館の一施設の裏側だけど、やっぱり部活動なんかをしている校舎裏に入っていくような心地がした。

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イルカトレーナーの方々のスーツなど

干してあったりしていて、部活動みたいに見えちゃったんです。

申し訳ないです。

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水族館らしくイルカ用の担架もちゃんとある

ニュースなんかでときどき目にするイルカを運ぶためのヒレ用の切れ目が入った担架だ。

実物を目にしたのは初めてだ。

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奥ではショーのための発声練習もしていた

新人の方が練習していた。

改めて考えてみると、イルカショーでの飼育員の方々の発声やアナウンスってたしかにアナウンサーっぽい。

ちゃんとこういう練習をしているのだ。

こういったものも見れて自分としては感激だった。(これまた学校の部活動のような香りがしたけれど…)

ちなみに今回裏側探検を案内してくれた隊長さんもむかし若い頃にイルカのスタッフをしていて発声練習をさせられたそうなのだが、隊長さん曰く苦痛だったらしい。

そういう本音も話してくれるところが愉快だ。

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イルカの餌も見せてもらえた

魚まるごと一匹と細かく切られたものとがある。

細かく切ったものはショーやトレーニングのときに使うものだ。

イルカからしたら量より回数で満足しているなどなど、ここでも飼育員ならではの話が聞けて面白かった。

リニューアルした回遊水槽の裏側を見ようとしたら、それ以外でも珍しい裏側探検ができてすんごく有意義な時間だった。

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最後にクリアファイルをもらえた

裏側探検に参加するとこういった景品をもらえる。

前回は缶バッチだった。

今回もらったクリアファイルは新しくなった回遊水槽がプリントされていた。

リニューアルされたんだなと、改めて実感したのだった。

 

まとめ

一年近く工事をして新しくなった回遊水槽「のと海遊回廊」。プロジェクションマッピングも施されたそれは噂どおりきれいな水槽だった。

水族館はただ海洋生物の生態を見せるだけではなく一つのショーアートのようにして見るものを楽しめる工夫がいくつもあるものだが、ハイテクの技術も進化すると魅せ方もここまで変わってくるのだなと「時代」を感じさせられた。

ただ、主役は魚や海獣と言った海や川の生物たちそのものであることは変わらないだろう。

キレイに装飾された中を元気に泳いでいるその力強さに、アートとして見てもその真髄があるように思えてならなかった。

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本物の魚たちが泳ぐからこそのアート

裏側探検でそれら生き物たちを裏で支えている人たちの現場を改めて見れたこと、話(苦労話含む)を聞けたことで、創り上げているんだなとの感慨もあった。

生き物たちと人間の共同芸術(コラボアート)みたいなものだろうか。

今回の「のと海遊回廊」ならびに他の水槽等を目にしてそんなことを考えさせられた。

のと海洋回廊を土曜日に見に行くことがあったら、裏側探検にも参加することをオススメしたい。