初心の趣

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低温でも発酵がすすむお酒「どぶろく」を臭いチーズといただく

先日、中能登町に行った際に道の駅でお酒「どぶろく」も購入した。

低温でも発酵が進みかなり癖もあるそれを、同じく発酵食品で癖のあるチーズと一緒にいただいてみた。

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中能登町の道の駅にて「どぶろく」購入

前回の記事で紹介した中能登町の天日陰比咩神社に行った後、同町の道の駅「織姫の里なかのと」にも立ち寄った。

この道の駅は天日陰比咩神社からも近いところにある。

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こちらが道の駅「織姫の里なかのと」

国道159号線沿いにあるので見つけやすい。

2014年にオープンした道の駅なので建物も新しい。

この中に特産品やお土産が売られているお店があり、どぶろくもそこで売られていた。

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「産直館 織姫市場」というお店

花なんかも売られている。

お土産だけでなく惣菜なども売られていたので地元の人もよく利用しているのではないだろうか。

こちらで売られていた「どぶろく」は一本1500円のものと2000円するものがあった。2000円のものは甘口や辛口で別れてもいた。

製造者によって値段も味も違うようだ。

自分は予算の都合上、1500円の方を購入することにした。

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こちらがその「どぶろ太郎右衛門」(1本1500円)

内容量は700mlだ。

製造者は「田中良夫」さんと書かれてあった。

会社名ではなく個人名だ。

実は中能登町はいわゆる「どぶろく特区」に認定されている。

通常、酒税法によって醸造見込みが年間最低製造量6キロリットルを満たすことで酒造りの免許を与えられるわけだが、この特区内だとそれ未満でも免許を取得出来る。

ただし、いろいろと決まりもある。農家が自ら作った「どぶろく」または「果実酒」を自ら運営する民宿やレストランで販売する場合に6キロリットル未満でも取得できる。または特区内のその地域が認めた特産品(果物など)を使用した酒類(果実酒)を作る場合も取得できる。

「田中良夫」さんというのは中能登町の農家の方のようで、「太郎右衛門」という農家レストランも営んでいるそうだ。

 

どぶろくを飲んでみる

どぶろく」は漢字で書くと「獨酒」となる。

その字からもわかるように濁っているお酒だ。

ただし、いわゆる「にごり酒」とは違う。

獨酒も他の日本酒同様に米、米麹を発酵させて作る。清酒(いわゆる「日本酒」)に分類されるお酒はそこから「もろみ」を濾して作られる。にごり酒も荒く濾しているので、分類上「清酒」となる。それに比べて獨酒はもろみを濾さない。(分類上、日本酒ではない)

濾す作業がないので清酒と比較すると手軽に作りやすいお酒だ。

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このように濁っている

というか「もろみ」が残っている。

普段、立てて保存しておくのでもろみが底の方に沈殿している。飲む前に逆さにするなりして混ぜてやる必要がある。

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注いでいる様子

瓶の口の周辺に溶けた米のカスみたいなものが残っているのがわかるだろうか?

このやわらかい固形物が醪(もろみ)だ。

中能登町で買ったこの「どぶろく太郎右衛門」は、同町にて自然農法で作られた酒米(「五百万石」という米)と「コシヒカリ」を使用して醸造している。ちなみに中能登町は世界農業遺産に認定されている。

世界農業遺産の地で生まれた米で作られた獨酒というわけだ。

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いただきます

自分は普段まったくお酒を呑まないのであまり参考にならないかもしれないが、感想を述べさせていただくと「かなりキツかった」。

アルコール分は12%なので一般的な日本酒と比べてもそう高くはないだろう。が、独特のクセの強さがあって、そのおかげで「きつい」と思わせた。

味は甘酸っぱいのだけど、くっさいチーズを食べているような、そんな独特のクセがあった。

普段お酒を呑まず、アルコール耐性が低い自分には一口飲んだだけで、ガツンとくるものがあるのだ。

なんだろうか、癖の強さでガードをほどかれて、アルコール度数がそのまま脳を揺らすといったコンビネーションパンチのような衝撃だ。

 

くさいチーズと飲んでみる

どうせ癖があるならいっそ癖のある食べ物と合わせてみたくなった。

普通ならお鍋だとか魚料理だとか、そういう日本食とあわせて美味いお酒なのだろうが、自分は天の邪鬼なのでどうしてもこういう発想ばかりしてしまう。

何にせよそんなことが頭をよぎったので、後日臭いと言われるチーズを買ってきて、一緒に頂くことにしてみた。

金沢市にはくさいチーズを売っているところが少ない。今回、香林坊アトリオの地下にある「チーズ王国」というお店に行ってきて買ってきた。

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買ってきたのはこちら

カルヴァドス ブリー」というウォッシュチーズだ。

以前そのお店でエポワスという臭いチーズを買って食べたことがあるので、それに負けない臭いチーズはありませんかと聞いたら、こちらを紹介してもらった。

伝統製法のブルーチーズにパン粉をまぶし、それに林檎のブランデー「カルヴァドス」をたっぷり染み込ませたものだそうだ。

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とりあえず開封

ブランデーが香る大人のデザートというキャッチで、赤ワインやウィスキーにもピッタリと紹介されていたが、まさか「どぶろく」と一緒に食されるとはこのチーズも思ってもみなかっただろう。 

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ひとまずカルヴァドスブリーを味見

開封したときから思ったことだが、このカルヴァドスブリーというチーズ、それほど強烈な臭さはない。

食べてみても、マイルドな臭みが鼻を抜けていった。

食感もクリーミーで、いうほどクセはなく、意外なほど食べやすかった。

普通に美味い。

比べて獨酒の方だが、このお酒、生のままなので低温保存していても発酵が進む。そのせいか、こうして数日後(一、二週間後)改めて飲んでみるとさらにガツンときた。

クセも増したように思われるし、何より胸が火照った。

これ、アルコール度数、増してないよね?

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とりあえず一緒にいただく

※こちらはイメージ図です

イメージが付きやすいように一度だけこのようにカルヴァドスブリーを直接どぶろくにつけて食べてみた。

するとどうだろうか、カルヴァドスブリーのクリーミーさのおかげでどぶろくの癖の強さを紛らわすことができた。

いや、多少あるチーズの癖の強さが獨酒のクセを相殺したのかも知れない。

何にせよ思ったほど臭くないチーズが、想像以上にどぶろくを飲みやすいものに変えてくれた。

想像以上に美味いと思えた。

これ、ある意味、相性が良いのかも知れない。

 

まとめ

どぶろく、今回初めて飲んでみたが、自分にはなかなか強烈なお酒であった。

これを飲みやすいと言って普通に飲める人は普段から強い酒に慣れている「酒飲み」なのだろう。

ただ、強烈だけど、冷蔵庫で保存しておくと低温でも発酵が進むという点は面白い。

数日後に改めて飲んだ時、明らかに味が変わっているのがわかった。そしてその強烈さが少しずつ美味いと思えるようになった。

さらには癖のあるチーズと飲んでもイケることもわかった。

癖があるもの同士でも、奇妙な(いい意味での)化学反応を生み出すようだ。

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ちなみにチーズの残りはタッパーに保存

冷蔵庫の中が臭くなるので開封したら自分はこうして保存している。

こいつもしばらく寝かせたらまた味が変わるのだろうか?

獨酒もまだ残っているのでチーズの賞味期限が切れる頃にまた一緒に飲んでみたいと思う。

より妙な化学反応が起きてくれることを期待したい。