初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

幻の大浜大豆で作った珍しい「つと納豆」を手に入れた

2月25日、珠洲市で「珠洲まるかじり」という食祭が行われていた。

そこでしか買えないとも言われる大浜大豆を使った納豆があるというので手に入れてきた。

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久しぶりに珠洲市

能登ふるさと博」のうまいもんイベントの一つに数えられる食祭「珠洲まるかじり」は2月25日(2018年)に珠洲市飯田町の春日通りで行われていた。

市役所や足湯のある「飯田わくわく広場」の目の前のストリートだ。

わくわく広場の足湯の記事はこちら

能登国際芸術祭の時に何度も足を運んだ多目的広場「ラポルトすず」も近くにある。

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久しぶりのラポルトすず

ここは駐車場が広いので、このあたりのイベントへクルマで来たときにはいつもここで停める。

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中に入ったらモザイクアートが展示されていた

緑丘中学校の生徒たちが2年前から制作している「珠洲の絶景12」と言うものだそうだ。

能登国際芸術祭にあわせて作られたものだそうだが、残念ながら芸術祭には間に合わなかったらしい。

冬になって少しずつ展示され、この2月には4枚展示されていた。

ほかの8枚はすでに展示し終えたそうで、いまは緑丘中学校に返されたそうだ。

全部見たかった。

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ほかにも書道パフォーマンスの作品も展示されていた

10月に行われた飯田高校の「あさ市元気フェスタ」での作品らしい。

飯田高校の有志や能登高校の書道部のメンバーによって制作されたそうだ。

写真では伝わりにくいが、これ、実物がかなりでかい。

「二七市」というのは毎月ニと七の付く日に飯田町にて開かれていた朝市のことだ。

七市は規模が小さくなったものの、地元のおばちゃん達数名によって今も続いているという。

そんなラポルトすずから市役所の方へと歩いていくと朝市のような活気ある食祭イベントがすぐ見えてくる。

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この通り(ストリート)で行われていた

歩行者天国ではないが、交通規制もされているこの春日通りで出店がいくつも並んでいた。

 

珠洲まるかじりで納豆を買う

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食祭「珠洲まるかじり」だ

珠洲市の特産品が並ぶ食の祭りだ。

人もよく来ていた。

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通りの入口付近にこんな顔はめパネルも置かれていた

能登国際芸術祭にも参加していた金沢美術工芸大学のアートプロジェクトチーム「スズプロ」によるものだそうで、この食祭ベントにあわせてスタンプラリーの出来る顔はめパネルを珠洲市内に計17枚設置したとのこと。

その一枚だ。

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足湯のあるわくわく広場ではYOSAKOIのパフォーマンスも

旗がデカいのなんの。

最初は広場に向かって踊っていたが、後からは通りに向かって踊ってくれていた。

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なんかゆるキャラもいた

珠洲市観光交流課所属のマスコットキャラクター「みつけたろう」君だそうだ。

見附島の妖精らしい。広義で言うとムーミンみたいなもんだ。

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鮎の塩焼きも売られていた

鮎まるかじりだ。

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この食べ物が気になった

輪島市の輪風堂も出店していて、そこの「うどんグラタンパン」というのも気になった。

実際食べてみたら能登海洋深層水で使用したうどんが中に入っていて、クリーミー且つ学校給食で食べたことがあるような懐かしい味がした。

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道の駅 狼煙の出店もあった

禄剛埼灯台に行った時に立ち寄ったところだ。

禄剛埼灯台に行ったときの記事はこちら

近年まったく作られなくなったものの、平成14年に二三味さんという農家さんによって復活に成功し、幻の大豆とも呼ばれる珠洲市の地豆「大浜大豆」。これを使用した豆腐やおからなどが売られていた道の駅だ。

今回自分が手に入れようとしている大浜大豆を使った納豆が、この2月の食祭イベントで売られると教えてくれたのもこの道の駅の職員の方だった。

その縁がなければ、こうして2月のこの日に珠洲市にやって来ることもなかったかもしれない。

言って見ると、大浜大豆の納豆と自分とを引き合わせてくれた道の駅でもある。

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その縁に感謝ということで「おからコロッケ」も買った

道の駅 狼煙には大浜大豆を使った製品がいくつも売られており、自分もまだまだそのすべてを食べ切れていない。この「おからコロッケ」もその一つだ。

以前に食べた「おからドーナツ」が美味かったので、むちゃくちゃ食べたくなったのだ。

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おからコロッケの断面図

そこに「おから」がいた。

そう表現したくなるくらい、中がおからだった。

このナチュラルな風味、ほのかな甘味、そしてサクッとくる衣、たまらんですね。

 

さて、道の駅 狼煙の方に教えてもらった大浜大豆の納豆、自分はてっきり狼煙の出店で買えるものだと思っていたらそうではなかった。

納豆は別の団体が作っており、その出店は飯田わくわく広場のちょうど前辺りにあった。

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幟旗も立っていた

ちゃんと「大浜大豆」「つと納豆」と書かれている。

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団体の名前は「横山振興会」

大浜大豆の加工品の製造・販売を行っているところだ。

大浜大豆の復活を成功させた「二三味 義春」(ひふみ よしはる)さんが代表を務めている。

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納豆、完売

まさかのすでに完売。

自分が到着したのは朝10時40分くらいだったと思う。

この食祭イベントの開始が朝の10時からなので1時間経たずに完売したことになる。

早すぎだろう。

ただ、金沢から珠洲までの距離140km近くを2時間以上かけてやって来て、目的の納豆を買えなかったかといえばそういうわけでもない。

実は自分、一週間ほど前に予約をしておいた。

むしろ予約でしか買えないという情報を道の駅 狼煙の方より聞かされていたので、それに従って電話をしていたのだ。(予約の重要性は地元の北國新聞にも書かれていた)

予約連絡先は何故か珠洲市狼煙町にある「表建具店」だった。

予約は3本からできる。

そしてお店に行って予約していた旨を伝えると、お店の方々も承知していたようで「完売」と掲げてあるはずの「つと納豆」を奥より出してくれた。

金沢から予約して直接取りに行くと言っておいたので、「遠いところから来る人」と先方も覚えてくれていた。

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予約の名前が間違ってましたが

電話では聞き取りづらかったのかまったく違う名前で予約されていた。

自分の苗字は少し変わっているのでよくあることだ。ドンマイです。

自分は3つ購入した。

値段は一つ400円だった。

ちなみに送料も払い、予約段階で郵送といえば送ってもらえる。現地に買いに行かなくても買えるのだ。

 

大浜大豆の「つと納豆」を食す

3本まとめて新聞紙に包まれていた「つと納豆」を家に持ち帰り後日食べることにした。

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幻の「大浜大豆」のつと納豆だ

藁は30cmくらいあっただろうか、なかなか大きかった。

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藁縄を解いてオープン

パックに入っているものとは違い、その殆どが手作りだとわかる。

そもそも「つと納豆」とは煮た大豆を藁に包んでその藁に付着している納豆菌で納豆にしたもののことだ。

包装も藁以外使っていないのだ。

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納豆も藁の中に

薄いフィルム用紙なんかが挟んでいるわけでもなく、直接大浜大豆が藁の中に閉じ込められていた。

藁に触れさせてそこに付着した納豆菌で納豆にしているのだからこれが当たり前だ。

よく市販のパックに入ったものはアンモニア臭がすると言われているが、藁に入っているとそういうニオイが基本的にしないそうだ。

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中の納豆を箸で

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器に移動

一粒が大きく、また結構な量だったので少し時間がかかった。

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それをかき混ぜる

これまた粒が大きく量も多かったので糸が引くくらいになるまでには結構な労力を要した。

確実に100回はかき混ぜている。

おそらく200~300回くらいはコネコネしただろうか。

それでも糸まみれといった状態にはまだまだであった。

さすがに疲れたのでこのあたりで食べることにした。

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いただきます

まずはダイレクトにいくことにした。

箸で持って香りを嗅いでみると、この段階で「大豆」の匂いがある。かなり存在感のある匂いだった。

醤油など何も付けず、どこにも乗せずにそのまま食べてみた。

味も…納豆だ。

the 納豆といった具合に味にかなりの深みがある。

市販のものが軽く感じられるくらいヘビーなコクがあった。

納豆の味がズシッと口の中にくるのだ。

醤油とかいりませんな。

一粒が大きい豆そのものは固めながら、噛んでみるとそこまで抵抗がなく、舌の上で少し溶けるような柔らかさがある。

そして噛んでみるとまた一つ、チーズと同じ発酵食品の独特の香りが鼻を抜けていく。

さらにはほのかに藁の匂いもした。

香りの三重奏だ。

複雑でもあり且つ美味い。

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ご飯とも一緒に

ある程度そのまま食べて、残りをご飯と一緒に食べてみた。

この時も醤油などの調味料はかけていない。

ご飯と一緒のほうが、気持ち香りが膨らむような気がした。

ご飯のふっくらとした温かみがそうさせるのかもしれない。

これはこれで美味い。

 

まとめ

2月最後の日曜日に開催される食祭「珠洲まるかじり」で売られる、幻の大浜大豆を使った「つと納豆」。

すぐに完売してしまって予約じゃないと手に入りづらいのだからなかなか希少だ。

そう希少な食べ物なのに、食べてみると味の存在感は半端なかった。

夕食の時に他のおかずと一緒に食べたのだが、食後も口の中で納豆、いや大浜大豆のまろやかな風味が残っているのだ。

さらには量も多かったので胃にもズシリと来て腹の中でも存在をアピールしているかのようだった。

特に一本を一人で食べたものだから余計にそう感じた。

なかなか重い。特に胃腸が弱い人ならキツイかもしれない。

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食べ終わった後の器の様子

かき混ぜていた時、あまり糸が引かないなぁと思っていたけど、食べ終わった後の器を洗おうとすると糸の粘りがものすごく、洗剤の泡がとろろ芋のようになっていた。

実は納豆の糸も強力だったようなのだ。

あの粘りが胃の中に入っているのだ、そりゃ重くなる。

一食に一本を2、3人でシェアして食べるのがちょうど良いだろう。

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一粒でも存在感

系統としては、一粒で腹がふくれるドラゴンボールの仙豆みたいなものだろうか。そんなことを連想してしまった。

重いけれど、風味の三重奏を楽しめるのあの味は癖になる。また食べたくなった。

次に手に入るのは、一年後か… 食祭イベント以外でも売られていないのだろうか?

売られていないのなら一年に一度の楽しみですな。