初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

七尾の古民家を改装したダイニング&ギャラリー「ICOU」へ行く

七尾市に古民家をリノベーションしたダイニング&ギャラリーのお店があるというので歩いて探して行ってきた。

オシャレながらどこか懐かしい感じもするお店だったので紹介したい。

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鹿渡酒造店を改装したお店

そのお店は七尾駅と道の駅「能登食祭市場」の間辺りにある。

どちらからでも徒歩で行ける距離だ。

住所を言うと「七尾市木町1番地1」となる。

地図ではここ

このあたりの県道132号は青柏祭のデカ山(山車)が通るところなので、あの祭りが行われている場所の近くにあると思っていただければ幸いだ。

商店や住宅が並ぶ町の中にあるため、わかっていないと見つけづらいかもしれない。

自分は道の駅から歩いていったのだが、スマホのナビを利用しているのに少し迷子になってしまった。

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こんなところを歩いて行く

「本当にダイニングなんてあるのかね?」そう不安になりながら歩いていた。

写真の突き当りを左に曲がって少し歩いてまた左に曲がったところにそのお店はあった。

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こんな建物があらわれる

醸造鹿渡酒造店」と書かれた看板が掲げられたお店だ。

銘酒「鹿渡(しかわたり)」を製造していた旧鹿渡酒造(かどしゅぞう)だったところだ。

建物そのものは明治40年に建てられたそうだ。

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杉玉が吊るされている

よく造り酒屋で吊るされているものだ。

これを吊るすことで新酒ができたことを知らせているそうだ。むかし福光屋の人からそんな話を聞いたことがある。

これら看板と杉玉だけをみると酒屋にしか見えない。見えないが、ここがその目的のダイニングだ。

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足元に「ICOU」の看板

ダイニング&ギャラリーと書かれたこの看板がなければ自分などはさらに迷子になっていただろう。

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開店時間はごらんのとおり

基本的に昼の12時にオープンだ。(毎週火曜日と第三水曜日は休み)

12時からランチが始まり、14時から17時までカフェ、18時から24時の夜の間はディナーもやっている。

自分が足を運んだのは昼の12時をちょうど回った頃でランチ目的で入った。

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いちおう駐車場もある

自分は能登食祭市場に駐車して歩いてやって来たのだが、お店の向かいに専用の駐車場もあった。ただし駐車場は広くないので必ず停めれるわけでもない。

 

どこか懐かしくカラダに優しそうな「いつもごはん」

その日はまったく予約などもせずに飛び入りで「ICOU」へ入った。

お店の方の最初の対応から土日は予約しないと入れないのかと思ったけど、席が空いていたので問題なく座れた。

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テーブルに置かれていたランチメニュー

ランチメニューは「パンランチ」「玄米チャーハン」「キッズおにぎり」そして日替わりセットの「ICOUのいつもごはん」の四種類があった。

この中では「ICOUのいつもごはん」の手書きに惹かれた。

日替わりで手書きって学校給食なみに毎日違う気がしたので、一期一会を求めてそれを注文することになった。

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こちらがこの日の「いつもごはん」

お惣菜プレートと小鉢という名のお皿盛りと、本日の魚が盛られたご飯とみそ汁のセットだ。

これらの他にドリンクとデザートも付いて1400円(+税)だった。

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お惣菜プレート

プレートとあるが弁当箱だ。欅の小判型弁当箱の中に5種類の惣菜が盛られていた。

カメラのF値の都合で後ろのほうがボヤケて写真が見づらくて申しわけない。左上から「高野豆腐のそぼろあん」、上段真ん中が「いかのトマト煮」、その右隣が「ほうれん草のおかか和え」、その真下が「冬人参のチャプチェ」で、最後の下段中央が「紅くるりとひじきのサラダ」だ。

能登の食材、しかも季節物を使ったものばかりだ。

能登地方の食卓で見られそうな料理といえば素朴に聞こえるが、この季節に採れるものを美味しく召し上がってもらおうと工夫しているところはむしろ「ご馳走」だ。

味もどれもさっぱりとして野暮ったさがなく、カラダにも優しいものだろうなとの実感がわくものばかりであった。

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こちらは本日の小鉢「チキンカツのハニーマスタードソースがけ」

チキンカツだが、油のギトギトした感じが一切なく、ハニーマスタードソースの甘辛さにもくどさがないので食べやすかった。

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そして本日のお魚「じゃり子丼」

この日のお魚は御飯の上に乗せるタイプのものだった。

「じゃり子丼」というのは産卵間近の粒の大きなタラコを炊いて丼にしたものだそうだ。

ご飯は玄米と白米から選べるようになっており、自分は玄米をチョイスしたので玄米の上にタラコが乗っていた。

どこかで見たことのある食べ物だなと思いながら一口食べてみると味の記憶がみるみる甦ってくる。

これ、むかし田舎で食べた。同じ七尾市にある田舎で子供の頃に食べたことがあるのだ。

なつかしい…

説明書きによると「じゃり子丼」って七尾の郷土料理らしい。そりゃ食べたことがあるだろう。

子供の頃に食べたじゃり子丼は、記憶が確かならもっとボソボソしていたところがあったと思うが、こちらICOUのものは米(自分の場合は玄米)がしっとりとしていたので口触りとしてはバランスが良かった。

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ドリンクはフルーツビネガーを注文

コーヒー、紅茶、焙じ茶、自家製フルーツビネガー、ノンアルコールビールの中から選べる。

自家製という名に惹かれてフルーツビネガーを頼んだ。

フルーツビネガーにも種類があり、いちご、りんご、ぶどう、青いプラム、キウィなどから選べ、さらに水割り、ソーダ割り、お湯割りから選べる。

自分はゆず&はちみつのお湯割りだ。

さすがにお酢(ビネガー)だけあって一気に飲もうとするとむせてしまう。

少しずつ飲むとゆずの爽やかな香りを楽しみながら温まることができた。

久しぶりにお酢を飲んだけど、これこそカラダに良さそうですな。

なお、ドリンクが出されるタイミングも任意で決めれるので食事中でもデザートに合わせても良い。

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デザートはこちら

「玄米粉マフィン フルーツ添え」だ。

米粉と言うだけあって小麦粉を使っていない。

また、フルーツに生クリームのようなものが付けられていたが、こちらも乳製品や上白糖を使っていないらしい。

ここでも体に優しい。

素朴で味にトゲトゲしたものがない。自然の風味を美味いと感じられるおやつだった。 

なお、店内にはパンケーキや焼き菓子などのおやつが単品で売られている。

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その一角

入ってすぐレジの前にこのように焼き菓子が並んでいる。

けっこう種類があった。

デザートの試作はスタッフみんなでわいわいやっているそうだ。

 

店内の様子

食事ができる一階は天井がかなり高かった。そこでかつてお酒が作られていたのだろうなとの感慨がある高さだ。

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2階建て分はある高さだった

梁も見えており、そこから白熱灯が吊るされていた。

こう天井が高いと暖を取るのも一苦労だろう。

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薪ストーブ全力燃焼中

レトロだ。

でもこれだけでは足りず、ファンヒーターも稼働していた。

レトロと言えばお店の棚も古民家らしいものだった。

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古いタンスが棚代わり

この引き出しから箸やナプキンなどのセットを取り出していたのにはちょっと驚いた。

ただの飾りではなく棚として現役で活用されているのだ。

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自家製の様子

こういうのも装飾品のように活用している。

古民家だけでも雰囲気があたたかいけど、こう包み隠さない感じにもほっこりする。

写真も、他のお客さんが写らなければ店内どこを撮ってもいいと言ってくれていた。

懐が深い。料理もおふくろの味系に近かったが、この懐の深さもオカン級だろう。

またこのICOU、壁が漆喰で白いことを活かして店内で映画の上映を試みたりもしているそうだ。

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見上げるとたしかにプロジェクターがあった

自分が座っていた席の真上あたりにあった。

12月にはICOUシアターとして能登杜氏の映画『一献の系譜』を上映したという。

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この白い壁がスクリーン代わり

いいですな。

見に行きたかった。

不定期でこういう映画企画を催しているようなので、機会があれば見に行きたい。

 

2階のギャラリーへ

旧造り酒屋を再利用した建物には2階もあり、そこは雑貨を販売しているギャラリーとなっていた。

食事の後に店内の写真を撮り会計を済ますと、2階もどうぞ見ていってくださいと言われたので上がらせてもらった。

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この階段を登っていく

ここでも旧造り酒屋であったことがうかがえる。

登っていくと…

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頭上注意

二階の部屋の入口が低いので気を付ける必要がある。自分は軽く頭をぶつけてしまった。

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部屋の中はこうなっている

屋根裏部屋のような感じがたまらない。

ストールやネックウォーマー、ヘアゴムなどの女性ものの小物や装飾品、カラーポットや欅の弁当箱、ブリキ缶や中津箒なども置かれていた。

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欅の小判型弁当箱(四十沢工芸)

お惣菜プレートに使われていたやつだ。

これ、いいですな。

蓋付きで5800円していたのでこの日は買えなかったけど、欲しくなる。

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ブリキ缶も欲しい

東京の工場で一つ一つ作られているものだそうだ。

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カラーポットも

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食器も

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何に使えばいいかわからないけど「しちなりかご」も

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そして中津箒も

どれもこれも欲しい…

カゴは一つ6200円、箒は大きなもので一万円超えしてましたが…

日本製好き、ハンドメイド好きとしては物欲を刺激されるところだった。

お金貯めてまた来たい。

 

感想

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2階から1階を見るとより新旧が混在しているのがわかる

ダイニング&ギャラリー「ICOU」にはその名のとおり「憩い」があり、また行きたくなるお店であった。

とくに自分たちで作っていますといった感じが親しみやすい。

しかもどの料理も食べる側のことを考えて体にやさしいものばかりをチョイスしているので気配りがあり、その気配りのお陰で安心がある。

同時に地産のものを使い郷土料理も提供してくれるので懐かしさもあった。

ギャラリーにしても、その雑貨は市販のものと比べると少し高いけれど、ハンドメイドのぬくもりを感じさせ、長く大事に使いたくなるものばかりとくる。

このお店が古民家を再利用して現代にも活かしているように、たとえ時代が代わってもいいものを残して使っていこうという気にさせるところであった。

昔からあるものをより洗練させて後世にも伝え、継承させていくことに自分は憧れを覚える。

自分も何かでそれが出来るようになりたいとどこかで思っている節があるのだろう。

もしかするとこのブログもその節を具現化した一つなのではないかとふと思ってしまった今回のICOU訪問であった。