初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

赤坂プラザ時代から笠舞のパレットにある「板屋」に立ち寄る

金沢市笠舞1丁目にあるショッピングタウンパレットの中に金沢銘菓・和菓子のお店「板屋」がある。

久しぶりに立ち寄り、久しぶりに板屋の「福梅」を食べてみた。

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パレット内にある「板屋」

当ブログでも以前紹介しているように、笠舞にある「ショッピングタウンパレット」(旧「赤坂プラザ」)が建物の耐震強度不足や老朽化から2018年3月末で閉館することになる。

思い出づくりではないが、2月のバレンタインも近くなったので(男からすると3月のホワイトデーのお返しを考えないといけない)、どうせなら閉館してしまうパレット内でも石川県らしい、またはパレットらしいチョコレートを探してみようかと平日の夕方過ぎに立ち寄ることにした。

パレット内でバレンタインといったらパン屋の「ジャーマンベーカリー」とスーパーマーケットの「アルビス」くらいしか思い浮かばなかったのだけど、いざ足を運んでみるとそのジャーマンに隣接し、アルビスの正面にある「板屋」の前で足を止めてしまった。

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「板屋」(パレット店)だ

板屋とは金沢市尾山町にある金沢銘菓と和菓子のお店だ。尾山神社のすぐ近くにあり、その縁から尾山神社にて祀られている前田家の家紋である「剣梅鉢」(けんうめばち)(別名「加賀梅鉢」)を商標にしている。

この板屋、けっこう昔からこの館内にあるなと思ったことが今回足を止めたきっかけだった。

そうして自分自身、大人になってこの板屋をあまり利用したことがないことにも気づいた。

子供の時分、親や祖母などが御見舞や来客用のためにここで和菓子を買っていたのを何度か目にした記憶がある。自分の中ではそういうものを買うお店であって、ジャーマンベーカリーのように気軽に入れるようなところではなかった。

どこか格式が高いというか、そんなイメージを持ってしまっていたのだ。

店の前で足を止めて、店頭に並ぶ商品を眺めていると、お店の方に気さくに「いらっしゃいませ」と声をかけられた。その声によって気楽に入って良いお店なんだなと、長らく抱いていた格式が高いという偏見も呪縛が解けたように頭の中からすぅっと抜けていったのだった。

なお、そのお店の方に板屋がいつごろからこの館内で続いているのか聞いてみると、このパレット内の「板屋」ってパレット内に残っているお店の中で一番古くからあるお店なのだとか。

なんでもパレットの前の「赤坂プラザ」の頃から、しかも開店した頃からあるそうだ。

知らなかった…

むかしから和菓子屋さんがあるなという記憶は間違っていなかった。

 

福梅を買う

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懐かしい食べ物発見

板屋の「福梅」だ。

福梅は石川県に古くから伝わる、梅の形をした正月のお菓子だ。前田家の時代に新春の茶席に献上されたことから広まったのだとか。板屋以外の市内の和菓子屋さんでもよく作られる。梅の形をした最中(モナカ)で紅白のセットで売られていることが多い。

チョコじゃないしバレンタイン用としては間違っているかもしれないけど、もらうなら、またお返しにこういうのもアリだなとふと思う。

そうなるともう頭の中がこれを食べたいという気持ち一色になっていく。

実際店内を物色しても、和菓子屋なのでチョコの菓子というものも見た限りではなかった。

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ということで一つ買った

ワンセット買った。

紙袋に商標である剣梅鉢が描かれている。

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袋の底の方にも

この梅のマークが「剣梅鉢」だ。

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そしてこちらが今回購入した板屋の福梅

2個で302円(税込)だった。

こちらは2個入りだが、6個入りや10個入りなどもあった。

紅白セットなので必ず偶数だ。

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紅と

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白だ

2つ並べて撮るのを忘れてしまったけどちゃんと二色に分かれている。

どちらも原材料は小豆と砂糖と餅米(赤色のものは「赤最中種」というのも使っている)だ。想像以上にシンプルで驚いた。

知っている人はどれだけいるだろうか? モナカって餅米で出来ているということを。自分は知らなかった。

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ともに

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かじる

懐かしい味がした。

この余計なものが入っていない雑味のない最中菓子、むかし何度も食べたことがある。

中身の餡はそこまでしっとりしているわけではない。これはモナカの寿命を考えてのことだろう。

しっとりしている方が美味しいのかもしれないけど、そうなるとモナカが湿気にやられてふやけてしまうことになって消費期限も半日と持たないはずだ。

とはいえ、この福梅の餡はそれでも舌の上でサラリと溶ける方だった。

食べやすく庶民でもいただける「福梅」なわけだ。

ちなみに消費期限は一週間くらいなので全国に出回る市販の菓子に比べると確実に寿命が短い。庶民でもいただけると言っても保存料を使わないナチュラルな味は現代では貴重だ。

そしてその自然な餡の甘みというのがまた美味かった。

 

まとめ

和菓子屋の板屋にチョコレートはないのでバレンタイン向けのものを探すというのは無謀なことかもしれない。

それでも特別な菓子がそこにあった。自然な甘みを持った菓子がそこにあった。

パレット店は3月末でパレット閉館とともに終わってしまうけれど、赤坂プラザの時代からずっとお店(支店)が続いていたという堅実さ、息の長さにあやかって長く縁が続くための縁結び(縁を強くする)という意味でこちらの和菓子を贈るというのもアリなのかもしれない。

また、この館内で買える贈り物という点を考えると、いい思い出づくりにもなりそうな気がした。

思い出づくりってけっこう大事だ。

なんとなく現代の風潮だからとただただチョコを送るよりマシだろう。

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記念に撮らせてもらった額縁

こちらの「板屋」の文字、いつごろからあるのか店員の方もよくわからないと言っていたが、ちょっとユニークなので記念に撮らせてもらった。

遊び心があるなと思うと、格式が高いなんてイメージも改めて払拭できた。

これまでこのお店を利用してこなかったことが悔やまれるので、閉館までまた何度か立ち寄りたいものだ。