初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

ふれあい昆虫館で珍しい「カブキカマキリ」を撮る

石川県の白山市には「ふれあい昆虫館」というところがある。

文字通り、昆虫の博物館だ。

10月28日よりそこに「カブキカマキリ」という珍しい蟷螂が国内で初めて生体展示されたらしい。

その姿、特に羽を広げたときの姿を撮ってみたくなったので同館に足を運んだ。

※虫が苦手な方はご注意ください

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昆虫館へ

石川県ふれいあ昆虫館は白山市の八幡町にある。

白山比咩神社に行ったときなど、その目の前を通る。ほうらい祭りが行われる同じ白山市内の鶴来地区のすぐ近くだ。

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こちらがふれあい博物館の建物

動物園と違い、この昆虫館の展示はすべて室内にある。天気に左右されず楽しめる場所だ。

館内は有料。大人で410円、子供で200円だ(団体割引あり)。

動物園や水族館と比べると安い。

定休日は火曜日だ。

右の縦に長い建物は展望台になっていて、そこから鶴来や獅子吼の景色を見渡すこともできる。

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館の前にはメタルなクワガタムシのオブジェ

2メートルくらいあるのでなかなか大きい。

実は自分、この館の近くを通ったことは何度もあっても、中に入ったことが一度もなかった。

特別虫が苦手というわけではなく、入る機会がなかったのだ。

今回、珍しい蟷螂がいるということで足を運んだが、その前に館内の様子も簡単に紹介したい。

 

館内の様子

順路に従うと最初に見えるのは「自然の中の昆虫」というジオラマを使った展示だった。

ツンドラやアフリカの草原、熱帯ジャングルにいる昆虫などを区画ごとに解説してくれている。

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「アフリカン草原」ではこのような展示

生きているようにみえるけど、剥製なのか生きてはいない。

足元にはフンコロガシも見えたが、こちらも生きてはいない。

ちなみにこの館内、撮影はOKだ。

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「いくらでもどうぞ」とある

シェアもどうぞ、というスタイルだ。ついでに言うとWi-Fiも使えた。

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こちらは「世界の昆虫」というエリア

ここでは世界の昆虫の標本がずらりと並んでいた。

なんでも館内には1600種類くらいの標本があるそうだ。

その中には世界でも珍しい虫の標本もあった。

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たとえばこちら

「ザルモクシスオオアゲハ」という大型のアゲハチョウらしい。

長年メスが採集されなかったらしく、19世紀には80万フラン(現在の日本円だと5000万円くらい)の懸賞金がかけられていたそうだ。

なお、抵抗がないように蝶の標本を紹介しているが、蝶以外にもハチやセミ、カブトムシやクワガタムシ、またカメムシなどの標本もあった。

自分は虫は苦手じゃないけど唯一カメムシが嫌いだ。理由は臭いからだ。ただ、ニオイもなく標本としてみてみるとカメムシの体もなかなか興味深かかった。

カメムシの標本も撮ったけど、抵抗ありそうなので載せるのは控えます)

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館内にはそんなカメムシのニオイを嗅げるコーナーもある

少し飛ぶが、いろんな昆虫の香りを嗅げるコーナーが2階にあった。

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こんな体験させるなんて、何、考えてんだ?

と、カメムシのニオイが嫌いな自分はこのコーナーを目にしたとき呆れてしまった。

正気の沙汰じゃないとも。

でも、そう言いながら嗅いでみる自分もいた。

ただ、機械が壊れているのか、ニオイはあんまりしなかった。嫌いという感情より好奇心に負けて嗅いでしまったので、助かったと思った。

その2階へと登る途中に、「チョウの園」というコーナーもある。

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こちらがその入口

植物園の温室のようなところだ。その中を約10種類の蝶がおよそ1000頭飛んでいる。

温度と湿度が一定に管理されているそうで、一年中チョウが飛んでいるところだ。

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その室内

ゆったり坂を登りながら二階へと通じている。沖縄など南国のチョウが飛んでおり、その蝶たちが産卵しやすい南国の木々や花が植えられていた。

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あちこちで蝶が飛んでいるので簡単に撮影できる

みつ台もあり、蝶たちもよく集まってくる。

ただし、直接手で触れたりすることはしてはいけない。

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日曜日、祝日にはこういうサービスも

オオゴマダラが集まる成分がスプレーされている帽子をかぶって蝶とツーショット写真も撮れる。場合によると何匹も寄ってくるんだとか。

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チョウの園を抜けた先の二階には学習展示も

2017年の学習展示には「むし太郎」というキャラクターが新登場している。

パネル漫画を使って昆虫の生態などを子どもたちにもわかりやすく解説したりしていた。

開催期間は2017年10月18日~12月4日だそうだ。

その期間中に館内に隠れたむし太郎の写真を撮って受付で見せることで特製カードをもらえる子供向けのサービスもあった。

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こういう記念撮影用の被り物もある

こういうのは大人でも楽しめてしまう。

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ほかにも敷地内には生態園もある

いわゆるビオトープになっている池もある生態園だ。受付では虫取り網も借りられるとあった。

屋外になるので、ここだけは天気に左右される。

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生態園で見つけに行ける虫たちの展示もある

「むしむしハウス」という一角だ。奥に見える林のような敷地が生態園だ。

現在「秋に見られる虫たち」というテーマでコオロギやスズムシなどが展示されていた。

2階のニオイを嗅げる部屋の中にはそれらの虫の鳴き声(録音されたもの)を聞けるコーナーもあったが、日が沈んできた頃になるとこの「むしむしハウス」にてナマの鳴き声を聞けるかもしれない。

余談だが自分はスズムシよりコオロギの鳴き声のほうが好みだ。

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外では蜂蜜を作っていたりもする

ミュージアムショップにはこの昆虫館で作られた蜂蜜も売られている。

いろいろとやっているところだ。

 

カブキカマキリの羽を広げている姿を撮りたい

館内をざっと紹介してみたが、一階にはほかにも「昆虫ウォッチング」と呼ばれる展示エリアもある。

目的の珍しいカマキリはそこに展示されていた。

標本がたくさん展示されているエリアのすぐ近くなので、順路を辿っていくと前半に通過するところだ。

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こちらがその「昆虫ウォッチング」の入り口

ここでは生きた昆虫たちが生きたまま展示されていてガラス越しに見ることが出来る。

ナナフシだとかゲンゴロウといった水中にいるものだとか、はたまたゴキブリの仲間なども「生きたまま」展示されていた。

その中に生きた「カブキカマキリ」もいるのだ。

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こちらがカブキカマキリ

解説用のパネル写真だ。この写真は石川県ふれあい昆虫館のHPでも見られた。

このように羽を広げたとき歌舞伎の隈取(くまどり)のような文様が見られことからこの名前がついたそうだ。

そんなもので、羽を広げているところを撮りたくなったのだ。

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日本初の展示

生きたものの展示は日本初だ。

本来はアフリカのカメルーンなどにいるそうだ。

性格は怒りん坊で、ケースの掃除をしようとするとよく攻撃されるのだとか。

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ガラスにはこんな注意書きも

カマキリのエサとしてゴキブリも入っているらしい。

このときにはその姿は見かけなかったが、日によってはいる可能性があるようだ。

ゴキブリが苦手な方は注意した方がいいかもしれない。

なお、このカマキリの隣に展示されていたのはジャイアントローチというでっかいゴキブリの仲間だったんだけど、わざとだろうか?

ところで肝心のカブキカマキリはどこにいたかと言えば…

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上の方にいた

ケースの中には小さな木も置かれていて掴まるところなんてたくさんあるのに、この上の方にばかりいた。

しかも寝ているのか、そこが気に入っているのか、ちっとも動かなかった。

羽を広げるどころではなかったのだ。

仕方ないので、いったんその場を離れて館内を先に見て回ってから最後に改めてこの前へと戻ってきたのだが…

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やっぱり同じ場所にいた

目の前で手を振ってみても、指を弾いて音を出してみても、チラッと首を向けることはあってもその場から動いてはくれなかった。

なかなか頑固ものだ。というか、このコーナーに展示されていた昆虫たちはどれもだいたい同じ場所にいたのだけどね。

何にせよ、どうにか羽を広げている様を一枚でもいいから撮りたいとガラスの前でカメラを構えて待っていた自分。2、30分は粘っていただろうか。そこに通りかかった飼育員の方が声をかけてくれた。

話してみると、いい写真が撮れないでしょうと蟷螂が上の方にいることを気にかけてくれて、バックヤードにまわってカマキリのポジションを移動してくれると言う。

お客さんが他にいないときだったからこその特別なサービスだ。

なかば諦めかけていたときだったのでその職員の方が救世主のように見えた。

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飼育員の方の手によって木に移されたカマキリ

本当に動かしてくれた。

蟷螂はむっちゃ怒っていた。

おかげで羽を広げてくれたのでシャッターチャンスだった。

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撮れた

歌舞伎の隈取のような文様のその羽をついに撮ることが出来たのだ。

生で見ると『グロテスクながら美しい』なんてゴスロリみたいな評価を抱いてしまった。

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目があった

「ちゃんと撮れたか?」

そんな声が聞こえてきそうだった。

粘った甲斐があった。飼育員の方にはほんと感謝だ。

 

なお、このカマキリ、飼育員さんが去った後も観察していると…

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再び…

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登って行った…

よほど上のほうが好きらしい。

普通のことをしないというか、人間の思惑を裏切るというか、こういうのも傾(かぶ)いているというのかも知れない。

 

まとめ

こんな傾奇者だが、現在ふれあい昆虫館で展示中だ。

お客さんが少ないときにガラス前でカメラを構えていると飼育員さんがフォトジェニックを作ってくれるチャンスがあるかもしれないので、羽を広げてくれない時は根気よく待つと良いかもしれない。

ただし、その隣の展示には7cmを超えるゴキブリの仲間もいるので、苦手な方はその点は気をつけていただきたい。

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同じコーナーには珍しい黄色のアマガエルもいる

遺伝子の突然変異による色彩変異個体だと考えられるそうだ。

愛称は「レモンちゃん」。

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この子がそうだと思われる

カワイイやつだ。

(カエルが苦手という方は…申し訳ない)

この他にも館内には珍しいマジョーラカラーの蝶などの標本もあった。最近では珍しいゲンゴロウも展示されるとか、されたとかという話も。

虫好きや、珍奇なものが好きな人には好奇心を刺激される博物館だった。

初めて足を運んだところだったが、想像以上に良かったです。

また来たい。

新種や珍種の展示の回転が早いようなら、動物園や水族館みたいに年間パスを買おうかな…