初心の趣

カメラ初心者の石川県人が同県を中心に地方の変わった魅力を紹介しています

宿に泊まっていないのに和倉温泉の「七福神 福々めぐり」をした

以前、和倉温泉総湯の足湯に行ったとき、その傍で七福神の一柱である寿老神の石像を見かけた。

どうやら和倉温泉の町中には七福神の石像が点在しているようなので、このたびそのすべてを見て回ることにした。

和倉では「七福神 福々めぐり」と呼ばれている町中散策だ。

全部見てきたら、なにか良いことがあるんじゃないかと、そう思ったからだった。

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弁天崎源泉公園にいる弁財天

弁財天は総湯の足湯に行ったときにも写真を載せたが、今回改めて撮ってきた。

弁天崎源泉公園にある和倉弁天社の社の前にその石像はある。

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町にはこんな案内がある

案内ではこのようにデフォルメされた七福神が描かれていてかわいらしい。

和倉には「わくたまくん」という卵型のマスコットキャラがおり、このデフォルメされた七福神の可愛らしさというか卵型の丸みは、そのわくたまくんと通ずるところがある。

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弁天崎源泉公園はこちら

緑と温泉の池がある公園だ。

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この池の水、温かい

温泉なので触れると温かい。

他にも手湯があったり、温泉タマゴをつくれる場所があったりする。

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そしてこれが和倉弁天社

弁天社は弁財天を本尊としている社だ。

この前に弁財天の石像がある。

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弁財天さまだ

卵型の漫画絵ほどではないものの石像でも丸みのデザインだ。しかも二頭身。

以降の七福神の石像もこの二頭身タイプである。

弁財天さまは、なんだかおばちゃん顔ですがそれもまた愛嬌があって良い。

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弁財天は芸の神

インドのヒンドゥー教の神々が仏教に取り込まれたものを「天部」というそうで、この弁財天(弁才天)ももともとは「サラスヴァティー」というインドの芸術を司る女神らしい。むかしは神仏習合であったので神社でも祀られるようになっている。

ここでもまずは参拝からだ。

参拝してから、写真を撮ると良い。

自分より先にいた家族連れの観光客は石像と一緒に撮っていた。

やっぱりSNSに上げるのだろうか。

 

和倉温泉総湯の足湯にいる寿老人

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寿老人と恵比寿のデフォルメデザイン

寿老人さまは総湯にいる。総湯に行くのは久しぶりだ。

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和倉温泉の総湯館だ

正面に写っているのが「わくたまくん」(石像)だ。

石像にするとどこかこわいけど、本当はクリーム色したラブリー系のキャラだ。

お盆休みの頃であったので足湯も観光客で賑わっていた。

その足湯の傍らに…

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寿老人さまがいる

「寿老人」(じゅろうじん)は「寿老神」と表記されることもある。

長寿の神さまだ。

おでこを撫でて、その手で自分の顔やお腹に触れると長生きできるらしい。

寿老人はもともと道教の神仙だ。

りゅうこつ座カノープスという星を中国では南極老人星(寿老人の星)と呼んでいるそうで、その星を見ると長寿になると言われているので、夜に南の空を探してみるのも良いかもしれない。

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温泉たまごを食べるとさらに健康&長生きできるようだ

足湯に併設する形で温泉タマゴを作れる場所がある。持ち込んだ生卵を温泉の熱湯で温泉タマゴにできるのだ。

ただ、この足湯では最近になってその作成場が使えなくなったという。

原因を詳しく説明してもらえなかったが、総湯館の人がそう言っていた。

「湯元の広場」でも作れるようで、そちらは今も使えると言っていた。

 

湯元の広場にいる恵比寿

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ということで湯元の広場へ

湯元の広場だ。

正面に見える鳥二羽は和倉温泉開湯伝説に出てくるシラサギ(ブロンズ像)だ。

なんでも足を痛めたシラサギがこの和倉で傷を癒やしていたそうで、どうして治るのだとその光景を見ていた漁師夫婦が近寄ってみたらそこに温泉が湧き出ていたのだとか。

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そのシラサギの像の中央で温泉タマゴを作れる

この広場の前に「だるまや」というカフェ兼お土産屋さんがあり、そこで生タマゴを3つ120円(一つ40円)で買えるので、それを使って温泉タマゴを作ることができる。

かごやネットに入れてだいたい15分間ほど温泉に浸しておくと出来上がるようだ。

なお、今回も自分は温泉タマゴを食べていない。

満員だったことと、時間の都合で今回も作成を諦めた。

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その広場に恵比寿さまがいる

石像では折れやすくなるからか代名詞としてよく手に持っている釣り竿は、こちらの像にはなかったが、むっちゃエビス顔だった。

学生時代にエビスビールばかり飲んでいた時があったので、自分としては随分とお世話になった(あまり関係ないが勝手にそう思っている)神さまだ。

古くは漁業の神さまで、後に商売の神さまとしても祀られて、いまではそちらのほうで知名度が高い。

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商売繁盛の神さまだ

七福神って仏教や中国の神さまがほとんどだけど、この恵比寿さまだけは七柱の中で唯一日本古来の福の神だ。

大国主(おおくにぬし)の子供の事代主神(ことしろぬしかみ)のことであるとか、イザナギイザナミの子供の蛭子命(ひるこのみこと)のことであるとか、恵比寿の正体は諸説あるようだ。

 

渡月橋にいる大黒天

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大黒天のわくたまくん風デザイン

次は大黒天だ。

湯元の広場から約150メートル先の渡月橋にいる。

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この海にかかる橋が渡月橋(とげつばし)

奥に見えるのは加賀屋グループの旅館「虹と海」だ。

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橋の上からマリンジェットに興じている人が見えた

マリンジェットに乗っている人、3人くらい見かけた。

お盆休み(夏休み)だな、と思わせる光景である。

この橋を渡ったところに…

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大黒天さまがいる

仏教で見ると、大黒天もまた天部だ。

もともとはヒンドゥー教シヴァ神の別の姿である「マハカーラ」だ。

黒い肌をした鬼神のようなマハカーラが仏教に取り込まれて大黒天になっている。

大黒天はまた日本古来の神道において大国主(おおくにぬし)と混同されてもいる。

神道においては言ってしまうと恵比寿の父親に当たるわけだ。(恵比寿が大国主の子であるという説をとった場合)

打ち出の小槌は「土」を、足元の米俵は「地」を表すそうで、漁業の神である恵比寿と対となる形でこちらは五穀豊穣の福の神とされている。

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出世の神様

子が商売繁盛なら親父は出世の神様だ。

出世を願うときは小槌と米俵とを撫でると良いそうだ

 

少比古那神社にいる毘沙門天

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毘沙門天のわくたまくん風デザイン

次は毘沙門天だ。

湯元の広場から200メートル先の少比古那神社にいる。

距離を見てもわかるが、和倉の七福神は結構近いところにいる。

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ここが少比古那神社(すくなひこなじんじゃ)だ

和倉の温泉が湧き出したのは神の恵みということで祠を建てて祀ったところから始まった神社らしい。(途中移転して現在の社名になる)

狛犬が見えたのでチェックした。

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子持ちの吽形と

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マリを持った阿形だ

平成元年に奉納されたもののようでかなり若い狛犬ながら、悪魔祓いしてくれそうないかつい顔をしている。

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背後には「夫婦神木」もあった

ケヤキだ。少比古那神社が移ってくる前からこの土地にあった神木だそうで、樹齢も500年以上と言われている。

不貞の誘惑も跳ね除けて夫婦仲が長く続きそうな神木だ。

毘沙門天はそんな境内にいる。

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毘沙門天さまだ

こちらも仏教では天部に当たる。

もともとはインド神話の財宝の神である「クベーラ」だ。

別名「ヴァイシュラヴァナ」(神ヴィシュラヴァの子)だ。

この名前から毘沙門天となったようだ。

持国天増長天広目天とともに四天王に数えられる。

その四天王の際は毘沙門天ではなく「多聞天」という名を用いられる。

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邪気や悪魔祓いの神様だ

上杉謙信が信仰していたことでも知られる武神だ。

この石像でも七福神の中で一番の強面だ。

インドの神話の時はまるで恵比寿のように財宝の神であったが、仏教に取り込まれてからは甲冑姿の戦いの神とされている。そのギャップがすごい。

まあ、人によれば悪魔を祓って財宝を守る神様との解釈もあるようだ。

自分は子供の頃から上杉謙信のファンなので毘沙門天には憧れがある。

「ふぅーふぅー」と息を2回吐くと良いようなので、波紋の呼吸法のように深く呼吸して、たっぷりと邪念や邪気を払ってきた。

 

青林寺にいる布袋

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布袋と福禄寿のわくたまくん型デザイン

残りは布袋と福禄寿だ。

2柱はともにお寺にいる。

少比古那神社から住宅地を歩いているとすぐ青林寺が見えてくる。

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こちら「白巖山 青林寺」

読みは「はくがんざん せいりんじ」だ。

羽咋市にある曹洞宗の永光寺(ようこうじ)の末寺だそうで、明治25年、永光寺の後醍醐天皇600回忌大法要の記念事業して開創したそうだ。

毎月第一週土曜日の朝6時から坐禅会が行われているとの張り紙があった。

さすが禅宗曹洞宗だ。

その境内にいるのが…

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布袋さまだ

布袋(ほてい)は唐の時代に実在していたと言われる仏僧だ。

もともとの名前は「釈契此」(しゃくかいし)で、大きな袋を持っていたことから「布袋」と呼ばれるようになったとか。

この袋は堪忍袋だそうで、布袋は堪忍と和合を教えてくれる福の神なのだそうだ。

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感謝!感謝!

堪忍して感謝、堪忍して感謝。これって意外と荒行かと思う。

 

信行寺にいる福禄寿

青林寺からこれまた歩いて遠くないところに真行寺がある。

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真宗大谷派 渓雲山 信行寺(しんぎょうじ)だ

狭い住宅地の中で一際大きな本堂だった。

ドラクエ3ジパングで見られそうな佇まいをしていた。

この境内にいるのが…

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福禄寿さまだ

こうして見るとすんごい福耳だ。

福禄寿(ふくろくじゅ)は宋の時代の道士「天南星」の化身とされているほか、寿老人と同じく「南極老人」の化身ともされている。そのため、寿老人と同体とされることが多く、七福神でも福禄寿と寿老人はよくセットにされる。

道教の三徳である「幸福」「封禄」(財を成す)「長寿」を具現化した神様で、それぞれの漢字を一つずつ取って「福禄寿」と呼ばれているそうだ。

もっというと、もともとは福星、禄星、寿星をそれぞれ神格化した3体一組の神様のことを福禄寿と呼んでいたそうで、日本では寿星(カノープス)が寿老人として単独で伝わったことによって、福禄寿と寿老人とで別れて認知されているようだ。なんだか、複雑だ。

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知恵の神様だ

そういう小難しさのためか、日本では知恵の神様だそうだ。

福禄寿の頭を撫でてその手で自分の頭も撫で、さらに知人の頭も撫でれば知恵が伝わって行くのだとか。

頭に触れることでその小難しさを理解しろということだ。

なんだか、考えるより感じろと言われているようでもある。

 

後になって気づいた円柱の輪郭プレート

このように七福神を無事に順に回ることができた。

ただ、石像と一緒に写真を撮っていた観光客の方々が何やら毎回石像の前でリーフレットのようなものを広げていて、気になった。

どうやら七福神の地図が描かれているようなのだが、それだけではなく石像の傍らにある七福神の名前が書かれた円柱のてっぺんにそのリーフレットをあてがって何かを転写するかのように柱に付属したペンのようなもので上から擦っていたのだった。

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福禄寿でいうとこの円柱

そのてっぺんにこんなマークがある。

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その神様の輪郭を象ったようなマークだ

改めて確認してみると(もう一回戻って見に行ってみると)、どの七福神にも同じようなマークがあったのだ。

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こちら布袋

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毘沙門天

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大黒天

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恵比寿

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寿老人

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弁財天

はい、このとおり。

もしかしてこれって、スタンプラリーみたいなものなんじゃなかろうか?

というか、観光客の皆さんが手にしていたあのリーフレットはどこで手に入れるんだ?

そんなことを考えた。

そうして再び町中を歩き、自分はそのリーフレットをしばらく探したのだった。

結局、和倉温泉界隈では見つからなかったが、帰り際にもしやと思って和倉駅に寄ってみると、待合室でそれらしきリーフレットを見つけた。

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これだ

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中を開くとこのような印刷が

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しっかりと転写(浮彫り)の説明まで書かれてあった

思った通りだったのだ。

あの円柱の七福神輪郭プレートを使ってスタンプラリーのようなことができたのだ。

本来、この七福神めぐりは、このリーフレットを片手に楽しむものだったのだ。

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しかも旅館に泊まっている人はプレゼントをもらえるそうだ

このリーフレット和倉温泉旅館協同組合加盟旅館(ようするに和倉温泉の旅館)に宿泊すると宿でもらえるようなのだ。

徒歩で1時間くらいで回ってこれるので温泉に入る前の軽い運動になる上に、すべての浮彫りを集めてくると宿にて記念品ももらえるのだから、つまりはこの七福神は、宿に泊まる観光客向けの七福神であったわけである。

当記事のタイトル「宿に泊まっていないのに~」とは、そういうことである。

 

まとめ

和倉方面に行ったついでに思いつきのように始めた今回の「七福神 福々めぐり」。

界隈の旅館の宿泊客なら、すべて回れば本当にいいことがあったわけだ。

逆に宿泊客ではない自分が回っても形あるものは何も手に入らなかった。

足腰と精神はそれなりに鍛えられたはずだ、そう信じたいところである。

 

なお、デフォルメされた七福神を何度も「わくたまくん風」と例えたが、当のわくたまくんがどのようなものなのか、いい加減紹介したいと思う。思い出してみると足湯の旅2のときも石像しか紹介していなかった。

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これが「わくたまくん」だ

通りにあった旗だ。冬には青柏祭の旗だったが、いまはわくたまくんが描かれていた。

これが本来の色だ。

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ちなみに自販機もわくたまくんデザイン

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青林寺前の和倉中町公園のベンチもわくたまくんデザイン

この手描き感がたまらん。

さらに言うと、足湯の旅初回に行った和倉温泉「湯っ足りパーク」の隣にある緑地広場にはわくたまくんが7体くらいいる。

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緑地広場の通称は「わくたまくんパーク」

七福神では少々口惜しい思いをしたが、代わりにパークの7体を筆頭にわくたまくんのかわいさに癒やされたので、良しとしたい。