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映画ソムリエを目指す猫

〇〇なときに観たい映画をレビューしており候。

『陰謀のセオリー』 最近何にでも陰謀論にしているなと思ったときに観たい映画

洋画 心・気持ち サスペンス

『陰謀のセオリー』

公開:1997年11月1日(日本での公開)(米国映画)

上映時間:135分

監督:リチャード・ドナー

製作:ジョエル・シルバーリチャード・ドナー

脚本:ブライアン・ヘルゲランド

撮影:ジョン・シュワルツマン

編集:フランク・J・ユリオステ

音楽:カーター・バーウェル

出演:メル・ギブソンジュリア・ロバーツパトリック・スチュワート、キルク・カザート、他

 

あらすじ

夜な夜な乗客に都市伝説のような陰謀論を吹聴し、自身でも『陰謀のセオリー』というニュースレターを発刊している変わり者なタクシードライバーのジェリー。過去の記憶もあまりない彼だが、司法省の検事であるアリスという女性のことだけは何故か記憶にあり、日々ストーキングしてしまっていた。そんなある日、FBIの車に拉致されたジュリーは、かつて国家の秘密実験の被験体であったことを思い出していく。数年前に何者かによって父を殺されているアリスを、何故ジェリーは守ろうとするのか、二人の過去が紐解かれていく…

 

レビュー目次

 

何でも陰謀論だと唱えていると

ノーベル賞受賞者父親たちが国に連行され銃を突きつけられながら精子を採取されただの、肉を食え、タバコを吸えも国家の陰謀だの、この主人公の男は人間の中でもずいぶんと疑り深い部類のようだ。それでもあれこれ小気味よく言い並べられるとそのどれもが彼の言うとおりすべて真実であるかのように、少なくともそういうものかもしれないと思えてくるのだから怖ろしいものである。

そんなものはこの男の勝手な妄想だと思っても、反駁が出来なければ何が真実であるのかわからなくなってしまうのである。

もっとも、良識と知識のある一般成人からすれば、そのように吹聴する輩を俄に信じることは不可能なようで、むしろ変人扱いするものである。劇中でもその例に漏れず、アリスを守ろうとしながらそのアリスに変人と見られて、変人として見た上で同情からやさしく接してもらっている。気の毒な話だ。

ただ、それらも全てはジェリーにタクシードライバーをする以前の記憶が無いからで、彼の吹聴する陰謀論にしても過去に実験の被験体にされたことが原因としてあるなのだから、彼には同情される資格がある。

仮に映画の話ではなく、現実の日常の中でふとして変なことを口走ってしまって変人扱いされそうになった際に、実は自分には秘密組織で実験にされた過去があるからなんだと言えれば格好が付きそうなものである。

そしてそれは、本当に過去にそういった出来事がアレばこそ成り立つ「格好」である。その点も虚言であるなら、現代的に言えばいわゆる中二病というものであろうから、格好とやらも頭に「不」がついて不格好になる。メル・ギブソン演じるジェリーも、作中前半、そのように不格好に見える。

 

陰謀論よりも恋や愛

後半になるにつれて、一般人を暗殺者に変えていたCIAの洗脳計画「MKウルトラプログラム」の存在が判明してくるので、ジュリーの格好に「不」がとれて、作品もドラマらしくなってくる。そうして元暗殺者が父親を殺された女性検事を救う理由もわかってきて、それがまたいわゆる人間味があるものだから、私のような猫の身分からすると興味深い。

どうやら恋や愛というものは洗脳の呪縛からも解き放つようだ。暗殺マシーンのように洗脳されていてもキレイな人を見て心奪われて殺せなくなるとなると、人の恋愛感情なるものは殺意に勝り、ときに銃にも勝ることになるわけだ。この日本で毎年夏に聞こえる「愛は地球を救う」との文句もよく言ったものである。

人間の恋や愛の力はどうやら偉大であるから、人を騙し人を操って他人の命を奪ってきた劇中の悪人も最終的には二人に負ける。悪人とともに一緒に死んだと思われた主人公が実は生きていたというハッピーな結末も恋や愛の偉大さ故であろう。

この世で生活をしていれば、世の中に不審を抱き、何にでも陰謀論を唱えているというのは誰にでもあるであろうが、そんな空想を頭のなかで巡らしている暇があるなら恋や愛をすれば良いだろうと、この映画を観ていると思えてくる。少なくともそのほうが生産的であろう。 

 

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